「出し惜しみなしッ!」劇場版 ONE PIECE STAMPEDE U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
出し惜しみなしッ!
アクセル全開!
余韻が凄い!
10分経った今でも、劇中のシーンを思い出して目頭が熱くなる。
王道パターンになりつつあるも、申し分なしと思える1作。
冒頭、ノックアップストリームを駆け上がるサニー号にやられる。
サニー号登場時の「メリー号の意思を継ぎ…」という台詞が頭を過る。
そう、この作品はルフィ達の冒険してきた時間を感じさせてくれる。
その体験へとリンクする。
キャラ立ちが半端ないのだ。
鷹の目は船を両断するし、ハンコックは健気で一途だ。フォクシーは脱力してるし、藤虎とゾロはサシで向かい合う。
ゾロとサンジの共闘も、過去の1シーンを彷彿とさせる。
極め付けはエースの登場だ。
サボと隣り合わせで、ルフィの退路を作るシーンなどは正直「ズルイっ!」と叫びたくなる。感動しないわけがないっっ!
物語的には万博のお祭り感はソコソコで、考えてみれば、起承転結の承からラス殺陣が始まるようなもんだった。
今回のラスボス・バレットに絡んでロジャーのエピソードが語られたりするのも嬉しい。
絶望的とも思えるその姿に、どうやって倒すんだと恐れ慄くも、ルフィは一歩も怯まない。
独断先行にも思える強烈なリーダーシップで周囲を巻き込んでいく。最後の一撃に至るまで、ルフィはどこまでもルフィだった。
後ろも横も振り向かず、前しか見ない鉄砲玉のような船長は、後ろから背中を支えて押し出してくれる仲間の存在を誰よりも感じてた。
そんなルフィは叫ぶ。
「1人なわけねぇだろうっ!」
渾身の一撃が砕いたものは、バレットの強靭な体躯ではなく、拗れてしまった彼の孤独感だった。
その一撃をガッツリサポートするウソップ。その展開に定着感はあるものの、このキャラって物語を構成する上での万能薬みたいなものだ。めちゃくちゃ使い勝手のいいキャラに成長してる…ぶっ込み方が多少強引でも、必ず取り返すもんなぁ。いやぁ、見事です。
そうして手にした世界をも揺るがすお宝を「いらねぇ!」とぶっ壊すのもルフィならでは。
かくして大冒険は時代ごとまだまだ進む。
野性味溢れる作画も的を得てるし、海賊の荒々しさを怠らずに表現してくれてたように思う。今回のゲスト声優陣はどなたも達者だった。台詞回しといい、滑舌といい…ハマってた。
この作品だけ観ても楽しいのだろうけど、原作を含め、ワンピースと共に成長してきた人達には、とてつもない質量の楽しみが詰まってると思う。
小賢しいというか、周到というか…もう「参りました。ありがとう!」と言うしかない出来だった。