「文化祭のキャンプファイヤーは比較的熱くないほう」プロメア saitofjさんの映画レビュー(感想・評価)
文化祭のキャンプファイヤーは比較的熱くないほう
私達はトリガーです。という序盤の自己紹介を乗り切れれば、作品としてはとても良いです。
映像も良いですし、ストーリーも伏線とかも考えられてて、破天荒に燃えるふりしてきっちり丁寧です。
逆に言うと、作り手の思いがプロメアすぎて、つらい。
いきなりクライマックス張りの戦闘は、すげーよりもただただ心が置いてかれます。
俺たちはトリガーだ!ついてこい!って思いに振り落とされないようにして、やっとついてけます。
そして、これが踏み絵です。私たちトリガーと一緒に燃え尽きましょう!
これに乗っかれるか乗っかれないか。作品評価の境界はこれに尽きるかと。
燃える燃えるぜ。とキャンプファイヤーの目の前で、一緒に遊ぶか。
遠巻きからキャンプファイヤーを眺めるか。
序盤のノリを乗り切ってしまえば、作品として丁寧なので、比較的目の前で遊んだ気にはなれます。
でも、あえて遊んでる感。あえて燃えてる感。が、終始付きまといます。
音楽のここで盛り上がってください。作画のここですごいことになっています。ストーリーのここで深みがあります。歌舞伎のかぶいてます感。
感じてるのではなく、説明されている感じ。
激辛麻婆に唐辛子をたくさん持ったから当然辛いよね。という情報を食わされてる感。
そのリアクションを楽しんでますが、さほど辛そうとは感じてない感。
熱くて暑くて仕方ないはずなのに、ぜんぜん熱いと感じてません。
これは本当に作り手の意図なんでしょうか。そこが引っ掛かります。
燃え尽きたい。というテーマなのに、燃え尽きたフリをさせられた不愉快さが残ります。
お前はプロメアとシンクロしてればよい。操縦は俺がする。と言われてしまったような部外者感。
激辛料理の番組を見るよりも、ペペロンチーノに入ってた唐辛子を何となく噛んでしまったときのほうがよっぽどトラウマ級に辛い思い出だったりします。
そういう辛さも作れる人たちなのでは?と思ってしまうほどには、出来が良いので、さらにもどかしい。