劇場公開日 2019年5月24日

  • 予告編を見る

「印象派だ」プロメア 蛇足軒瞬平太さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5印象派だ

2019年6月4日
PCから投稿

分身魔球は野球評論家には説明できない!

モネ、セザンヌ、ルノワール、ピサロ他、
印象派の絵画。
となりの山田くん、かぐや姫の物語。
いずれも、ピントがボケたような引き算の美学で観客の心に訴求する。

一般的には、
卓越した細かなディテールの描写で
【作り手の手】から【観客の頭脳】を刺激する。
理解しやすい高度な技術で圧倒される。
天才といわれる人たちは、このパターン。

しかし本作は、
【作り手の心】から【観客の心】を鷲掴み、
または雷撃する。
天才という位置に甘んじない人達が目指す孤高の領域の人達
なんでしょうか?

細かなディテールは必要ない、
描写は後回し、これしかない!という1カット1カットの
絵の乱れ打ち。
しかもその1カットは変態している・・・。

夕陽をバックに姉妹の会話、
姉に寄る、切り返し、妹のアップ、切り返し、姉に寄る、切り返し、妹のアップ、
そして引いて夕陽バックのふたり。
オーソドックスな切り返しと引き。
基本もトリッキーなカットもテーマは観客の心に届くかどうか?
「ゴッドファーザー」のドンとマイケルの二人の会話が最期になるシーン、庭で座りながらワインを飲んで、一見のんきな会話だけど・・。
二人の会話の切り返しの撮り方の教科書。
を思い出した。

2年ほど前、学生から勧められたキルラキル、
面白い表現をする人たちとは思っていた。

しばらくは、会う人会う人に「プロメア」観ました?って言ってまわらないといけない。

まどマギの時は、興味がない人達に、
2001年宇宙の旅、地獄の黙示録、ディアハンター、タクシードライバーを具体でやってます、って説明してましたが、
今回は?

ガンバの冒険?デビルマン?スポンティニアスコンバッション?
ちがう!

黒澤とかコッポラ(他の誰でもいい)とか映画の文脈で語れる映画ではもちろんなく、
アニメの文脈でも語れない(どうなんでしょう?)所から検証すべきアート作品なのかもしれません。

分身魔球は野球評論家だけでは語れない。
(毎度意味不明のたとえで恐縮です!)

シナリオはめちゃくちゃいいですが、
めちゃくちゃ昭和。

蛇足軒瞬平太