「事実は小説より奇なりなんですが…」エリカ38 マツマルさんの映画レビュー(感想・評価)
事実は小説より奇なりなんですが…
浅田美代子さんの迫真の演技が評判なのと樹木希林さんの遺作となる作品と聞き、鑑賞しました。
で、感想はと言うと、思ったよりもちょっとう~んな感じで粗々しく分かりづらいです。
浅田美代子さんと言うと今から約45年前の「時間ですよ」のミヨちゃんや「釣りバカ日誌」のハマちゃんの奥さんのみち子さんが有名でほんわかした感じの女優さんですが、当初は女詐欺師としては合わないんじゃないかな?と思ってましたが、これが生々しいリアル感がプンプンでw、フィクションを何か超えた様な演技と佇まいに鬼気迫る物があります。
実際の投資詐欺事件の受刑者にも結構雰囲気が似てるのでなかなかなナイスキャスティング♪
こう言った女性を演じる女優さんは大竹しのぶさんのイメージが強いんですが、浅田美代子の生々しさはなんか凄いですw
では、何がう~んかと言うと、事件の報道であらかたの経緯を知っているのですが、話の展開を理解しているにも関わらず分かりづらい。
場面転換のもたつく様で進んでいるのか、前後してるのかが分かりづらいです。
時折サブタイトルが画面に出て、起承転結的な展開が分かるけど、やっぱり分かりづらいなぁ。
また、渡部聡子がこう言った事件を起こすきっかけとなる父親と平澤への存在の心境の経緯が薄い。
どちらも胡散臭く、また嫌な存在を醸し出してるのに、きっかけではあるけど、雰囲気が先行しし過ぎて、出落ちみたいになってるんですよね。
全体的に画面が黄色味のフィルターと明暗が強いのでこれも過去なのか?今なのかが分かりづらいんですよね。
渡部聡子の事件を苦々しい過去として明暗を付けて、荒々しくした事があんまり作用してない感じです。
タイトルの「エリカ38」も38歳と偽ってから来ているのに、そんなに劇中に38歳を押し出してないし、タイでしかエリカと名乗ってないので、言う程タイトルと連動してないのもツッコミ所の1つw
演じる浅田美代子さんも実際の犯人の女性もど~見ても38歳に見えないしw、単にあの事件をモデルにした事を言いたいだけにしか思えないタイトルになってます。
樹木希林さんが亡くなられてからの遺作が幾つか上映されてますが、ちょっと遺作である事を過剰にし過ぎてる所も無きにしもあらず。
樹木希林さんの作品はこの後も「命みじかし、恋せよ乙女」が待機してますし、仕方ない所ですが、あまり過剰に遺作ビジネスになってる感が感じられるとちょっと観る側の気持ちを逆撫でしてる様にも感じますが如何でしょうか?
全体的にホント分かりづらいと言うのが付きまくるぐらい、粗さが目立ちます。
「事実は小説より奇なり」と言うぐらい、巷には様々な奇々怪々な事件が報道されてますが、この作品も実際の事件をモデルにしているのと樹木希林さんの遺作と考えても勿体ない感じ。
いろんな部分を肉付けし過ぎて、またいろんな部分が足りない。
良い部分もあるからこその勿体ないです。
最後に浅田美代子さん演じる渡部聡子が乗っていた赤い車はポルシェに思えたのですが、タイで付き合う男性の名前もポルシェと言うのはどう考えてもギャグw
ポルシェに乗って、ポルシェに乗られたwと言う下ネタギャグは製作側の意図でしょうか?
だとしたら、そこだけ深いですw