マチルド、翼を広げのレビュー・感想・評価
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私とオカンと時々フクロウ
イカれた母親を持つ少女と喋るフクロウの日常と少女の葛藤を描いた映画。
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お母さんのイカれ具合はかなり重症で、結婚もしないのにウェディングドレスを買ってそれを着て街を徘徊したり、急に引越しをし始めたり。
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こんな親だからマチルドが全部家事やってて、クリスマスなんかチキンの丸焼きとロブスターを自分で作るという実力。
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たぶん喋るフクロウはもう1人のマチルドなんだろうな。火をつけようとした時は止めたり、でもほんとのマチルドが無視し続けてるお母さんはイカれてるっていう事実をあっさり認めたり。
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時にはマチルドの理性になったり、よき理解者になったり、本音を言ってくれたり。口には出さないマチルドの気持ちを代弁してるんかなぁ。
不思議な世界にリアルに感動!
フクロウが喋る母娘の物語ー くらいの認識で初日観に行ったら、なんと今までにない不思議な感動を体験した。それは母娘の切ない愛とジワジワとくる生きる勇気。9歳のマチルドは健気で儚くそして何よりもママが大好き。でもママはいつも混乱して奇行ばかりでマチルドを困らせる。そんなママでもマチルドのママへの愛は止まらない、諦めない、そして彼女を強くしていく。彼女に寄り添うフクロウは知恵と勇気でアドバイスをおくる。それはきっとマチルド自身の声でもあるんだろうなぁ。途中、ミレーのオフィーリアを思わせる、マチルドが水面に横たわる陰鬱なシーンが、ラストでは希望に繋がるシーンとしてイキてくる。同じくラストの母娘で語り合う連想ゲームのような詩の掛け合いで涙した。マチルド役をはじめ役者陣の素晴らしさにも感動!フクロウの演出も秀逸!久々に、観てよかったなと思った映画だった。
深い愛情に包まれた詩的でファンタジックな時間
別の世界に生きているかのような、自分は世の中から取り残されてしまうんじゃないかという気持ちを必死に整理するママ。そのママに愛されたいと思っているマチルド。
個人的に少し境遇が似ているから、自分に重ねて物語を観ていました。
ママは情緒不安定で「?」な発言が多いけど、ふいに心に刺さる(残る)言葉が端々にあり、マチルドへの愛が垣間見える。
マチルドの事を愛しているがゆえに、後半の決断はママの心情を思うと切なくて悲しい。
雷雨の中で踊るダンスは、これまでの物語を総括するかのような何とも言えない心地いい時間に。
お風呂場でマチルドがママを抱きしめる姿はグッときて、涙を誘う。
普通の物語だったら「マチルド可哀想」だと思うのだろうけど、そうは思わせない。だってマチルドは終始笑顔だったから。
初日に行われた枝優花監督とライター月永さんのトークショーで物語の新たな発見も!
もう一度観たいなぁと思わせる作品。おすすめです。もちろんフクロウの役割とバランスは言うまでもなく素晴らしい!
困ったママだけど誰よりも最高のママ!
他の人からしたら、ちょっと困ったお母さんでも、娘にとって唯一無二のお母さん
そんな母と娘の結びつきを強く感じた作品
監督で女優のノエミ・ルボフスキーが、自身の子供時代を描いた作品
監督が自らママを演じている
マチルドのママは、常に突飛な行動をするちょっと困った人だ
小学生のマチルドは、そんなママに振り回され友達もできない
しかし、ある時、ママが一羽のフクロウを買ってくるのだが、そのフクロウは話すことができて…というファンタジータッチのヒューマンドラマ
マチルドのママは、パパと離婚してしまったため、マチルドと二人暮らし
けれど、ママは精神的に不安定であり、突飛な行動を繰り返し、警察のお世話になる事態にまで発展してしまう
正直なことを言ってしまえば、マチルドのママは、とても厄介な人だ
普通に会話ができない時もあるし、いきなり姿を消してしまうこともある
そんな困ったママを、この映画ではユーモアたっぷりに映画化しているのは、この映画の監督であり、マチルド本人だったノエミ・ルボフスキーにとって、ママが誰にも負けない最高の人だったからだ
そして、マチルドは、そんなママの子供だったからこそ、後々、感情豊かな女優として成功したのだろう
そして、この物語どとても特徴的なのが、ペットのフクロウだ
フクロウはマチルドが困った時に現れて、いつも適切なアドバイスを与えてくれる
まるで父親のように
ということは、そのフクロウは、母子家庭で育つマチルドが思い描く理想の父親像なのだろうと感じた
とても悲観的なママとの日々をとても前向きに、楽観的に描き、遠く離れた父親をフクロウとして存在させることで、マチルドにとっては、とても大変な日々をユーモラスに描くことに成功している
そこから感じるのはマチルドのように、家族に心の病を抱えた人がいたり、母子家庭で育つ子供たちへの前向きなメッセージだ
そういう家庭で育つことはとても大変かもしれない
けれど、マチルドがその後、女優として成功したように、その時の思いが後々役に立つことがある
だから、そんな明日を夢見て、悲観的にならず、常にユーモアを忘れずに、家族と共に生活する一日一日を大切にしたらいいのではと
それがたとえどんな両親でも、誰にとっても、かけがえのない存在なのだ
そんな母への思いに溢れたステキな映画だなと思った
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