「良く出来ていただけに落胆と驚愕!」キングダム INU INUさんの映画レビュー(感想・評価)
良く出来ていただけに落胆と驚愕!
Amazonプライムビデオで無料配信が開始されたので視聴。
上映開始時から評判が高かったものの、機会に恵まれず、正直映画館でもレンタルでも観る気がせず、この機会になりました。
コミック原作の実写映画化は様々な意味で難しく、原作の再現度やクオリティ、そもそも作品としての面白さ、興業の成功とフラグが多すぎて原作ファンを含めた観る人を満足させるのは恐ろしく困難。
しかし、観終わって本当に良く出来ていたと感じました。
映画としてどうか…と言われると…実はソコは全然ダメなんですけど、エンタメとしては楽しめる作品に仕上がってると感じました。
いいじゃないですか、こういう映画があって、沢山の人が楽しめる事は。
予算も使えてますね!
ワイヤーアクション無駄に派手ですね!
リアルは追及してませんでしたけども。
まあ、まず、原作の映画化と言う意味で、本気度が高い!
そもそもコミック原作ですからね。
そう言う世界とってことで…
オリジナルストーリーではなく、原作に寄せて作ると言うハードルの高い事を選びながらも、それを実現させる妥協の感じない作り込み。
『コスプレ』ギリギリセーフのキャラクター再現。
いや、アウトなのかも知れないが、ほぼ違和感なかったし、それ自体を楽しめた。
キャスティングも楽しかった。
映画としての尺に収めるためのストーリー上の割愛も程々で的確。
丁寧にやりすぎても前半で飽きちゃうし、雑になりすぎても登場人物の思いが薄くなりすぎて後半全くもたなくなる。
そこのところはエンタメ処理で作品性を損なわずテンポ感も良い。
これまでコミック作品実写映画化は正直仕上がりが酷いものばかりで、結局ひとつも楽しめなかった。
期待半分、諦め半分で観たけれど、エンターテイメント作品として本当に良い出来と感じました。
脇を固める俳優さんが良かったです。
特に王騎の大沢たかおさん、漂/嬴政を演じた吉沢亮は素晴らしかった。
原作キャラに寄せつつも自立した役作り!
キャラの再現ではなく、ひとつの役として完成されていました。
あと、殺陣師の方だけど、左慈役の坂口さんも生粋の軍人的感じが良かったですね。
剣さばきスゴ過ぎてよく見えなかったです。
こだわりですね。
リアルヒッティング的こだわりですね。
こだわり過ぎて素人目には逆に地味なアクションになってましたね。
いや、でも、良かったです!
他にも原作ファンの目線としても様々な登場人物が出てくる度に楽しかったです。
…しかし、星2.5。
山﨑賢人…。
主役が…
何故!?
…と言う感じ。
ハッキリ言って出てくる度に不快でした。
主役の信役だから基本的にずっと出てるので、ずっと不快でした。
ここだけどうしても興業成功第一主義に感じ、作品の信頼を損ない、結果的に途中で映画自体に飽きてしまった。
いや、彼は単純に人気と別に俳優として未熟過ぎる。
浅い。
ペラい。
安っぽい。
最初から最後まで信に見えませんでした。
無料配信を待って本当に良かった。
悲しくも、彼にはそう感じさせられました。
信は、粗野で無学だが、純粋で真っ直ぐ。
信念と実行力があり、他人が出来ないことを当たり前に実現させる愛嬌のある勇者。
自然と他人を惹き付け、愛され、信頼される人物。
つまり、後の英雄の若き日の姿。
山﨑賢人さんの信は全然そうなってなかった。
人間的魅力と強さを感じない。
現代っ子がギャーギャー騒いでるだけで、ただただうるさかった。
あれじゃあ誰も付いて行かないし、誰も信用しない、許さない。
とっくに殺されてる。
もうその辺のガキ。
才能と人望の欠片も感じられない。
あれは信じゃない。
原作に媚びてペラい造形で役作りに失敗した典型的なパターン。
だったら再現度なんて低くていいから、オリジナルの解釈で信を演じて欲しかった。
多分、彼には俳優としてのその辺の感性がそもそも無い人なんだろう。
嬴政との関係性は勿論、登場人物との人間関係が成立していないので、物語が成立しなくなってしまった様にすら感じた。
何で?
撮影中に誰も言わないの?
大人の事情?
こんなにちゃんと作ってる映画の主役だけが何故こんな事に!?
そもそも年齢の設定が原作と違うから、少年でなく青年がやるとバカに見えちゃったのかな?
大役で、とんでもなく難しいだろうけど、少なくともちゃんと役と向き合って欲しかったです。
彼だけ俳優の仕事をせず、部活感覚で全力出し切っただけの人でした。
きっとクランクアップ時は最高の達成感だった事でしょう。
疾走感だけでやりきりました!みたいな?
続編は、観ないと思います。
山﨑賢人さんのファンの方、ごめんなさい、これがファンではない人間の感想です。
彼の事を好きでもないし、嫌いでもありません。
観ていてただただ映画の邪魔でした、彼が。
残念です。
やっぱり信と漂のエピソードが前半薄すぎて、信が持つ夢や戦う理由がペラくなっちゃったのはあると思いますね。
ペラ×ペラで、結果超ペラペラです。