「これは伝説の映画シリーズの序章にすぎない」キングダム 映画野郎officialさんの映画レビュー(感想・評価)
これは伝説の映画シリーズの序章にすぎない
改めて総合エンターテインメントの素晴らしさを目の当たりにした。原作の漫画、豪華な俳優陣、気分を盛り上げる音楽、リアルに再現されたセットや衣装、万人が楽しめる演出…と、当たり前だがすべてがプロフェッショナルで、その掛け合わせにより素晴らしい作品ができあがっていた。エンドロールで流れるあらゆる分野の数多くの人たちの名前を見ながら、映画の奥深さと分厚さを実感した。
僕は原作を読んでいて好きだからなおさら胸熱必至だが、読んでいない人や歴史(中国史)が苦手な人でも楽しめる内容になっている。実力派の俳優から今をときめく若手のイケメン俳優まで揃い踏みで、観ていて飽きない。
そして原作ファンにはたまらないぐらいのハマり役ばかりで、いちいちキャスティングがにくい。優しいイメージの山崎賢人が熱い信を演じられるか心配だったが新しい一面を魅せてくれたし、なにより吉沢亮とのコンビがかっこよすぎる。ファンは酔いしれてしまうだろう。そしてやはり一番は王騎の大沢たかお。原作の漫画からそのまま出てきてしまったような雰囲気出し過ぎてて、ニヤつきが止まらなかった。あと、長澤まさみは山の民率いる将軍に似つかわしくないぐらい肌と足がきれい過ぎ。笑
そんな贅沢なハマり役も本作の2時間では出し惜しみされたキャラばかりで、絶対次回作につながる作り込みであった。今後出てくる他の登場人物も誰がやるのか楽しみだ。主題歌のONE OK ROCKも一気に気持ちを上げてくれる。
殺陣のアクションもみなさん素晴らしく、大勢の絡みをよく作り上げたものだ。だが、一部ワイヤーアクション感が見えてしまうところが仮面ライダーっぽくてもったいなかった。
そして映画では民族、身分、思想の違いにより世界で続く争いへのアンチテーゼが色濃く出ていた。領土の奪い合いの虚しさや、差別や格差を超えて平和に向かって統一していくメッセージに重きが置かれている。でもそんな境遇や能力の違いがあっても、夢と信念を持って努力を続ければ道は切り開かれるという応援も含まれている。
ただ今回はその世界観を創り込むことに注力し、人物同士の関係や物語を深く描ききれなかった部分があるので続編に期待したい。