「若者の決断」僕たちは希望という名の列車に乗った andhyphenさんの映画レビュー(感想・評価)
若者の決断
たった2分間、黙祷をしただけで。
この現代ではただそれだけのことが、東ドイツという国で帯びる意味。最初は内々に済まそうという展開だったはずが、あっという間に追い詰められていく若者たち。追い詰め方が半端ない。何としても首謀者を見つけ出そうとする政府。「言論の自由がない」という状況をリアルに実感させられる。
自分たちだけではなく、家族にも影響が及ぶ尋問。決断し行動すること、思っていることを言うことが、あの時代、あの国ではまさに命がけと言っても良い。
最初選んだように弁解し逃げ切るのも取り得る道ではあったと思う。まあ、それはあっという間に塞がれてしまうのではあるが...。私だったらどうにか逃げようとしてしまう気がして、とても葛藤した。
若者それぞれの、親との関係性も非常に興味深かった。親への反発、畏敬、そして真実。本当に「上の者」は情報を巧みに扱うのが上手い。若者を的確に揺さぶる。
その中でも、母の言葉、父の表情、握手の重みが親の感情をひどく感じさせた。行く方も残される方も、覚悟が要るのだ。
しかし最後に提示されるのが「希望」でよかったと思う。とても難しいけれど、唯々諾々と生きるより、自分で考えることは大切なのだ、と感じた。
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