「Love dart」空の瞳とカタツムリ いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
Love dart
確かに奇妙な生態である。恐らくそれを論理的に説明すれば理解しなくもないが、もっと方法があるんじゃないかと気持は割り切れない。そんなモヤモヤした想いを全編に塗したような作品である。
一応、“三位一体”と揶揄されていた女性2人と男1人のグループ。しかし実はその関係性は卒業後に崩れてゆく。元々が歪な間柄であるのだが、作品では女性二人の関係性の変化を主に取り扱っている。1人は自由奔放、片や潔癖症。そしてお互いが惹かれ合っているのに、それを素直に表現出来ず、相手を傷付け合う。それぞれが自分の存在を相手に認めさせたいといういじらしい気持が、丸で自傷行為にように傷付けてゆく。
そのお互いの認識確認を交互に行ないながらストーリーが“カタツムリ”の如く、ノロノロと進んでいく。ラスト近くに訪れる唐突な男の死、その前に登場している、第4の男(アトピー肌の男娼)等、二人の女性にとっては単なる道具やきっかけでしかない。あくまでも二人の女性の狂おしい愛の確認、恋矢で穴を埋め合うことを表現する、コラージュ作品のワンピースなのである。そして二人はめでたく一緒になるかと予想すると、それもない。結局離れてしまう。しかし憑物が取れたように、潔癖症が治ってしまう。『恋は病』であるから、終われば治るのであろう。そういう繊細でナイーブな作りである。
自分の感想としてはこの作品の中身はそれ程練り込んでいるとは思えない。結局メッセージ性も薄ければ、心に響くモノもない。
それよりも今作の最大の注目は、2人の女優のそれこそ体当たり演技の披露なのではないだろうか。とにかく脱ぎまくり、そして交ぐ合う。一寸前に流行った女性モノのAVのようなプロットなのではないかと思う位である。中でも百合プレイは非常に官能的で淫靡であった。この二人の裸一貫の努力のみが今作品の評価そのものであろう事は間違いない。それ程、美しい裸体と演技を堪能させて貰った。
鑑賞後に、出入口付近で挨拶をしていた、飛び切りな容姿淡麗の女性が、初め気付かなかったが主演の女性であったのが驚愕した。女優はこうも化粧や髪型一つで別の美しさを表現できるものであるとしっかり思い知らされた。本当に大変な美人で、すっかり目の保養をさせて頂いた。スクリーンもリアルも、大変お美しい方でしたよ、『縄田かのん』さん・・・