「静かに描き出される鬱屈した感情たち」草の葉　さとうきびさんの映画レビュー（感想・評価）

ホン・サンス監督らしいモノクロの会話劇。
路地裏の喫茶店を舞台に複数のカップルの個人的な対話を追った、ある秋の終わりの１日の物語。
同じ路地の食堂に場を移したり、時間軸が微妙に交差したり、ホン・サンス監督らしい観客を煙に巻いたよう、惑わせるような、地味にトリッキーな構成を楽しめます。
タイトルに引っ掛けた映像も、え～これのこと？？と思わせるものでした。
クラッシックの名曲をバックに、個人的な対話の向こう側に透ける登場人物それぞれの鬱屈を、さり気なく描き出す相変わらずの巧者ぶりを楽しめました。