「駄作だと思いました。」象は静かに座っている 柿渋さんの映画レビュー(感想・評価)
駄作だと思いました。
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登場人物は二種類に分かれる。意味なくつっかかってくる人間と「この世はクソだ」と思っている人間。
主要な登場人物は後者に分類されるのだが、人物描写はぺらぺらで奥行がなく、思いやりのある人物は一人としていない。みんな自分の不都合は人のせいだと思っている。
映画的に美しいと思われる場面にも乏しい。
画面の外でアクションがおこっていて、カメラがパンするとその結果がわかる、という表現が4カ所くらいあるが、この手法も映画を楽につくるためのごまかしにしか見えない。
途中から、ああ、この主要人物たちは皆、監督の分身なのだな、とわかってくる。この作品は監督からみた絶望に満ちた世界の描写なのだ・・・と思うとやや落ち着いて鑑賞することができた。
鑑賞者に違った価値観や世界の観方を教えてくれる作品なら、それはそれで価値のあるものだと思う。しかし脚本、監督の表現語彙が少ないので、全然これがリアルな表現につながっていかないのだ。
4時間を超える長尺もそう。
なにかリアルな表現を志してこその長尺だと思うのだが、そこに意味は感じなかった。
最後に主要人物たちが「静かに座っている象を見たい」という共通認識をもって集まり、象のいる場所にむかってバスを走らせる。その部分の構想だけはよいのでそこに1点。
そんな映画でした。
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