劇場公開日 2020年2月28日

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「3Dメガネをかけさせる動作も演出」ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ ローチさんの映画レビュー(感想・評価)

4.53Dメガネをかけさせる動作も演出

2020年3月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

世界的に注目され始めている中国第8世代のビー・ガン監督の作品を初めて観たが、非常に新しいことをやっている。映画の途中から3Dになるのだが、これが非常に効果的。主人公が映画館でメガネをかけるのを合図に観客も同じように3Dメガネをかけるよう、冒頭で指示されるのだが、映画の途中で観客に何らかの行動をさせるということ自体が演出として効いている。要するに、観客に主人公と同じ行動を取らせることによって、主人公との一体感を増幅させ、主人公の体験を観客のものとするように身体を同期させているわけだ。基本的に、映画は観客に指示できないメディアだが、3Dメガネを使えば行動を指示できるというのは、大きな発見ではないか。
その3Dのシーンは約60分1カットの長回しなのだが、これが白日夢のような幻惑的な世界で、3Dによる奥行きの違和感がうまい具合にリアリティを喪失させる役割を果たしている。3Dであることも効果的だが、それだけにとどまらず「3Dメガネをかけさせるという動作」も効果的に用いた斬新な発想が本当に見事だ。

杉本穂高