麻雀放浪記2020のレビュー・感想・評価
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白石監督の駄作打ち
『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』『彼女がその名を知らない鳥たち』『孤狼の血』『止められるか、俺たちを』…。
白石和彌監督は、今日本映画で最も好きな監督だ。
新作が発表されると必ずリストアップするほど気になり、実際見たらその年のMY BESTに選出する事もしばしば。
今年も『ひとよ』が非常に見たい!
…アレ? これって、いつぞやメチャ好きだったある監督に似ている。
園子温。
園子温の作品も見たらその年のMY BESTにしばしば選出したり、新作も必ず要チェックしていた。
が、売れっ子になって作品を乱打するようになってから、作品の質が落ち、次第に関心が…。
白石監督も今、年に2~3本ペースの売れっ子ぶり。
思えば、昨年の『サニー/32』が黄色信号だったのかもしれない。
そして、白石監督の今後のキャリアを心配させるような本作…。
白石監督があの『麻雀放浪記』を再映画化する!
当初はワクワク!
自分は麻雀についてはルールも知らなければ全く興味も無いが、その昔見た1984年のオリジナル版は非常に面白かった事を記憶している。
スリリングで、渋く、冷徹ですらあるハードボイルドな麻雀の世界とそれで食っていく者たちの闘い。
白石監督の『凶悪』『孤狼の血』の手腕を以てすれば、名作であるオリジナルにも負けない勝負に期待出来そう。
…が! 続報を聞いてびっくり仰天。
終戦間もない麻雀の世界で生きる若者・哲が、2020年の東京にタイムスリップし…。
…ハァ!?
アレ? オリジナルってそんな話…?
…いやいや! オリジナルは大分昔に見て詳細はほとんど忘れてしまっているが、そんな話じゃなかった事ははっきり断言出来る。
徐々に濃厚になっていく不安要素。
それは、出演者のトラブルやいざ公開されてからの酷評でさらに拍車。
で、実際に見てみたら…、
嗚呼、これはもう…。
まず、何故にタイムスリップ? SF要素?
オリジナルのままの設定じゃダメなの…?
そのカルチャー・ギャップが笑いを生むが、あの徹底したハードボイルドの世界がコメディ調に…。
セグウェイに乗って移動する東京五輪組織委員会のヘンな奴ら、麻雀メイドにフリフリコスプレ…。
不必要なエロやナンセンスな設定に笑い…。
果ては麻雀AIロボットまで!
何じゃこりゃ!?
少なからずハイテクや管理社会を皮肉ってもいる。
来る東京五輪後を想像させるような荒廃や貧困…。
でもそれらも、チープな近未来映画の劣化版。
極め付けは、麻雀に興味無い自分が言うのも何だが、麻雀の本気度や熱を全く感じられない。
一応所々麻雀シーンを挟み、クライマックスは最大見せ場の麻雀勝負が設けられているが…
スリリングな麻雀勝負というより、大袈裟な演出や音響でごまかしたゲーム感覚のペテン試合…。
主演・斎藤工の念願の企画だったらしいが、こんなのを望んでいたのか…?
本当は、『凶悪』や『孤狼の血』のようなタッチでの『麻雀放浪記』にしたかったに違いない。
別に白石監督一人だけが悪いんじゃなく、こんな話を書いた脚本家、こんな設定にOKを出したプロデューサー、そもそも企画を通した製作会社に問題あり。
キャストのバカげた珍演も言わずもがな。
“ベッキーママ”は百歩譲っても、“ベッキーロボ”は何なの、アレ!?
お蔵入りの危機にまでさせた某キャストのトラブルについては…、好きな役者だっただけに、心底反省して下さい!
これは、ふざけて作ったのか? だとしたら、オリジナルを侮辱している。
真面目に作ったのか? だとしたら、あまりにも残念過ぎる。
見てるこっちの方がポスターの斎藤工のようにパンクしてしまいそうな、トンデモ駄作!
白石監督は第2の園子温になってしまうのか…?
いや、まだまだ、『ひとよ』や意欲的な新作に期待したい。
娯楽作品の粗野な魅力が詰まっている
くだらないを突き詰めた結果、よりくだらない作品となっている。
そのくだらなさは、この世の中の節操のなさ、利己的な人間の愚かしさを浮き彫りにする。
社会風刺的な要素もあるが、それ以上にいろんな方向にケンカを売っているようで危なっかしい。
でも、本来娯楽とはバカバカしいものだし、誰かの気分を損ねても気を使うことなくバカをやり抜くんだという意志のようなものを感じた。
泣かせる話、考えさせられる話、タメになる話、映画に限らずまるで正座しながら正しさを享受することが良しとされるような時代の空気に対して、そんな人達を怒らせて、呆れされて、その後に何故居心地が悪かったのか考えさせることが監督の意図なのか、と邪推してしまう。
それほどにこの映画は粗野な魅力が詰まっている。
あと、個人的にベッキーの艶やかさにやられた。
どん底を見た人間の底力も感じた。
ピエール瀧の演技もまた見たい。
その時はまた白石監督作品で。
すごい悪ふざけ
出演者の役者魂に感心しました。(笑)
こういう悪ふざけが大好きな監督さんなのだと。
たぶん、阿佐田哲也の青春編は読んでないのでは?
片山まさゆきさんが関わってるので、
ノリは「ぎゅわんぶらあ自己中心派」とか、
「スーパーヅガン」に近い。
しかしながら、話もわかりやすいし、
和田誠版へのオマージュもちゃんとしてます。
サニー32よりは良いと思いました。
ただ、「明日は雨かな」の2の2の天和がクドい。
ベッキーが端役かと思ってたら、かなりメインでフィーチャーされてたので驚きました。
斎藤さんも可哀想に、ちゃんとやりきってます。
暇つぶしに観るといいのでは。
個人的には、結構楽しめました。
銀魂観て思ったけど、笑わせるのにゲロはデフォルトなのかしら。
麻雀の扱いが…
Vシネっぽいのはまぁいいとして、「“麻雀”放浪記」なのに肝心の麻雀の扱いがあまりにも雑すぎると思った。
イカサマもあんなにバレバレで下手くそなのにバレないってのも、本家を観ている身からすると(´ε`;)ウーン…っていう感じ。
ストーリー展開にも飲み込めないところが多々あるし、(多分)伏線がまったく回収されないシーンも。
麻雀が分からない層の人にもライトに楽しんでもらおう&描きたいのは麻雀ではないってことなんだろうけど、だったら「麻雀放浪記」である必要もないんじゃない? と。
ただ、坊や哲の斎藤工はそんなに悪くないし、一人3役を演じた小松政夫大先生は凄く良かった。
ヒロイン的立ち位置のベッキーは…う、うーん。
九蓮宝燈は狙ってはいけない
まだ焼け跡も生々しい戦後直ぐの、破壊され荒廃した瓦礫の残る東京に、荒んで強欲に塗れた悉く狡猾な人心と博奕・麻雀の世界。罠、駆け引き、恫喝、そして裏切りと陰謀が渦巻く無頼の世界に生きる男たちと彼らに群がる女たち、己の運と才覚と天命に身を託して刹那刹那の勝負に生を委ねる、殺伐として乾ききった世界を見事に描出した名作のオリジナル『麻雀放浪記』(1984年)から主人公・坊や哲が2020年にタイムスリップした世界を描いたのが本作です。
博奕と人生の関わりには二通りあります。一つは、人生は博奕だという捉え方。もう一つは博奕こそ人生だという生き方。
しかし仮令75年を経てITとAIによる管理化社会の時代となっても、坊や哲は、己を愛する人のためではなく、後者の修羅の道を歩み尽くす。それは博奕に勝つことで一攫千金を狙うためではなく、勝負の瞬間にアドレナリンが大量に分泌され気分が異常に昂揚し悦楽の極致に達する陶酔感と恍惚状態が、彼を意味もなく勝負に駆り立てている。徹底した無頼の生き方である。献身的に尽くす売れない地下アイドルのドテ子の愛にも一顧だにしない。その徹底した信条は、今や遠くなりつつある昭和の男の風情です。
現代人が潜在的に抱く得も知れぬ不安感と、その反動としての虚栄的な狂騒を希求する性向。その人間の欲望と狂気を描いて鋭い切れ味を見せる白石和彌監督らしい演出が冴えわたる本作。やや鼻につくあざとい演出(特に竹中直人のシーン)も散見されましたが、人間の果てしない欲望と打算の坩堝が鮮やかに、且つ露骨に、全編iPhoneで撮影されたザラついてメタリックな映像で再現されていました。
ギャンブラーの一見華やかで、実は非情で傲慢で冷徹な世界。久々に故スティーヴ・マックィーン主演の名作『シンシナティ・キッド』(1965年)を観てみたくなりました。
そして私がこの映画から得た唯一の教訓は、九蓮宝燈は決して狙ってはいけないということです。
Vシネマ感がすごい
映画と言ってよいのか。キャスト以外で特に金がかかってるところもなく、映画でやる必然性はあまりないかも。
面白いとは思ったけど、なんか出落ち感もある。作ってるがわも構想ねってるときが一番楽しかったんだろうな。
リリー・フランキーが出てきそうな雰囲気なのに今回はなぜかなし。ピエール瀧のみ(しかも彼である必要のないチョイ役)。別にセット物ではないけど、白石監督というと両方出てきそうなのに。
ただ、キャスティングは面白さもたくさんありました。ベッキーも小松政夫も的場浩司も竹中直人もキャラが生きてて良かった。
初映画のちゃらんぽランタンを主要キャストで起用したのはすごい。演技の違和感なく、かわいく見えるべきところではかわいく見えてました。サニーの北原里英もそうだけど、チャレンジングなキャスティングではまり役にしてるのはすごいけど、見出した女優がその後日の目を見ませんね。
斎藤工はこういう映画に沢山出てきた人
Vシネみたいに徹頭徹尾B級テイスト。原作の二次創作みたいなこの脚本だとそう撮るしかないわなあ。斎藤工と脇役に揃えたB級感も敢えてのチョイスだろう。
自分もそれに見合ったながら見で対応。少ない見所はラストの勝負シーンくらい。映画館で観たら怒ってたかもしれない。
白石監督の他の作品はしっかりと細部まで丁寧に作っているので、この映画は(敢えてそう撮った)と想像するわけですが。映画監督のキャリアというのも中々大変そうであります。
東宝には作れない大人の遊び!!
全く期待しないで観始めましたが、面白かったです。ゲームのフォールアウトや往年のメガテンのような頽廃的な雰囲気があり、好みでした。井口昇や西村喜廣作品をより一般的にした感じだと思います。斎藤工は普通の俳優がやらないような映画によくチャレンジしているので、これからも注目していきたいです。昭和20年で雷に打たれた時、出目徳(遺体)が映って笑えました。後半は少しテンボが悪いように感じます。ドテ子は声が可愛くないので、萌えませんでした。
進化的麻雀映画を観れた事は素直に嬉しい。
1945年の博打打ちが2020年にタイムスリップするお話。
阿佐田哲也の原作はよくは知りません。麻雀はします。
と言う条件でレビュー。
いやはや、監督としての斎藤工色と白石監督色、どちらも強い。
2人で語り合って作った感がある協業の様な「映画」であった。
シーン、シーンが「こっちは俺(斎藤)!あっちは監督」感満載だった為、まとまり感薄く少し散らばり感もあった。
また、麻雀内容にこだわってない為、麻雀に期待していた人にはかなり低評価だろう。
設定に行き過ぎた面もあった。近未来的な2020年である。近未来は色々と映画化されている為、描かれた未来はかなりチープである。これなら近未来的部分にお金を掛けなくても良かった感はある。
後半の全員集合の麻雀勝負などエンタメ色を強くしなくても良かった気がするし、長い。
マイナス的要素ばかり書かせて頂いたが「では貴方の総評価はどうなのだ?」と問われれば、私個人として「キチンと映画ではあった」と答えれる。
テレビドラマやオンデマンド配信では作れないだろう。
これはイカサマ可能賭博麻雀の昭和感あり、メイド(喫茶を彩った)麻雀やVR、タブレットで麻雀ゲームなど平成の姿あり、そして令和これからの未来の姿を形どろうとした映画だと思えたのだ。
監督の世界観がある映画はテンポも良くなる。
映画ならではのテンポの良さは後半勝負までキチンとあった。
進化的麻雀映画を観させてくれたのは褒めたい。
もう少し練っていれば名作になった気がするのは俺だけか?(おかみはベッキーでは無く、日本風の女性を演じさせるとか。風刺など違和感の無い賭博に染まった2020年とか。)
作りとしては嫌いじゃないです。
こんな映画あってもいい。
【俊英、白石監督 羽目を外しすぎる】
映画の着想としては面白いかもしれないが、内容が薄い。
「麻雀放浪記」 と謳うならばきちんとした麻雀を描いて欲しかったし、2020年の東京の風景が余りに雑に描かれており、残念であった。
<2019年4月6日 劇場にて鑑賞>
中途半端
白石監督作品ということで注目したが期待ハズレ。一体何を伝えたいのか分からず中途半端。終始集中出来ずに何度も睡魔に襲われたzzz…もっと雀士の壮絶な争いと駆け引きが観たかった。
2019-104
斎藤工を見に行くならアリ
ピエール瀧周りの一連の流れで、自粛、作り直しではなく、そのまま上映に踏み切ったというその一点で観に行きました。
原作麻雀放浪記のシーンから雷鳴に打たれて2020年の未来へ!
現代に現れた無一文の哲はふんどし姿で「九蓮宝燈」をあがって過去に戻れるか!
麻雀放浪記にあるエピソードを数点拾って組みなおしつつ、
アンドロイド、AI、生体IDなど未来要素を加えている。
ピエール瀧はセグウェイにのって会議に出るえらい人(クズ)役で2,3カットしか出ない。
・麻雀が分かって
・原作知ってて
・斎藤工の怪演で
ちょっとだけ楽しめるかなというところです。
麻雀の知識は必須。奇想天外すぎる、珠玉の痛快破天荒ムービー!!
【賛否両論チェック】
賛:終戦直後から2020年へとタイムスリップしてきた主人公が、ぬるい時代に風穴を開けて一大旋風を巻き起こしていく様は、痛快の一言に尽きる。
否:そもそも麻雀のルールを知らないと、全く楽しめないこと請け合い。設定や展開も荒唐無稽で、なかなかついていくのが難しい。ラブシーンもあり。
まず大前提として、麻雀の知識は必須です。最低限のルールが分からないと、なんだか全く分からないまま話が進み、そのまま終わってしまいそうです。
物語は、まさに奇想天外・荒唐無稽・破天荒といった言葉がピッタリな内容です。終戦直後の東京で、命を賭けて麻雀を打っていた哲が、良くも悪くも平和ボケした2020年の東京へとタイムスリップしてきて、やがて社会旋風を巻き起こしていく姿は、非常に痛快に映ります。
「勝負しねえで生きる奴に出来ることはな、長生きだけだ。」
という言葉が、メチャメチャカッコよかったです。
ただ、肝心の展開も思いのほかメチャクチャで、ツッコみどころも多すぎる印象を受けてしまいます。真面目に観るというよりは、その辺りも加味して軽い気持ちで観るのがイイのかも知れません(笑)。
ラブシーンやグロシーンも結構あったりしますので、好き嫌いは両極端にハッキリと別れそうな作品といって間違いなさそうです。
☆☆☆★★ 何やら聞こえて来るのは低い評価ばかり。 元々、内容から...
☆☆☆★★
何やら聞こえて来るのは低い評価ばかり。
元々、内容から政府内でチェックが入り。更にはピエール問題で揺れる等、散々の様でしたが。私自身、この監督の作品としてはこれまで観た中では…。
…ん?意外と面白いんですけど(・・?)この監督の作品としては(当社比)
尤も、和田誠版と比較してしまってはダメですよ〜!
(=゚ω゚)ノそれはダメ!ダメよダメダメ(古っ)
阿佐田哲也原作は未読ですが、題名だけ借りた別物として考えた方が良いのでは…と思えました。映画の方向性として。コメディーに寄っているのは明白な様に。コンビニの雑誌コーナーに有る【麻雀漫画】の(のような)映画化を志向している…節が見えました。卓を囲む面子が時代を越えて出揃う辺り等は、小説の世界と言うよりも、よりマンガの世界観でした。
こんなマンガが喫茶店等に入った際に置いて有ると、ついつい読んでしまう…って言う《アレ》ですね《アレ》。
まあ大抵の作品は、竹中直人が出て来るとやりたい放題になって。真面目な作品でもコメディーに寄って行ってしまいますけど(´ω`)
それにしてもNGなしの斎藤工は偉いわ。最後に突き抜けた『リアル鬼ごっこ』程では無いにしても。幾つもの場面で思わずクスクスとさせて貰え、「嗚呼!これは肩肘張って観なくても良いんだ!」…と。
大体、斎藤工が真面目な顔をして「俺の名前は◯の哲!」…ですから(=^▽^)σ
その台詞・演技を観てしまうと。この作品に対して「あゝだ!こうだ!」と言うのは野暮な話ってもんでしよう…と。
そのおかげなのか?劇場内がガラガラで観やすい状況だったのと。今日のTOHOはポップコーンデーだったのも有り。周りを気にせずに、ポップコーンをポリポリと食べ。中身も頭を使わなくても良いし…で、暇つぶしとしてはなかなか良い時間を過ごさせて貰えた。
…と言いつつも、「期待して観に行ってはダメよ〜」ですけども(=^ェ^=)
ベッキーのロボット顔がここまで活かされていたのも意外。笑うと怖いんですよね〜((((;゚Д゚)))))))
冒頭にピエール問題に関する字幕有り。
重要な役で撮り直しが効かない…って事だったが。
別に重要とも思えなかったが、撮り直さなければダメとも思わない。
明日は降ってくれるかな〜(´ω`)
カネの雨が降るぞ〜
オカダお願いね(−人−)
2019年4月9日 TOHOシネマズ西新井/スクリーン10
レビューが悪いので見ました。
麻雀の事も知らないし麻雀放浪記も見てないけど白石監督、大丈夫かな?と思ってしまいました。岡崎体育さん朝ドラの演技も良かったですが今回のキャラも良かったです。因みに岡崎さんの音楽は知りません。
2の2の天和でカット割っちゃダメ。
映画のなかで坊や哲(斎藤工)が「ヒリヒリした勝負がしてぇ」と口癖のように言うのだが、それを見ながら「もっとヒリヒリした映画が見てぇ」と僕は心のなかでつぶやく。
映画のなかで勝負しているのは坊や哲だけで、他の人物たちの欲求などがはっきりしない。矢島健一が扮したAIの開発者の野心だけが際立つ。
冒頭の戦後すぐのシーンに白石和彌の真骨頂があったのではないか。
あとは才能の浪費に見えてしまった。
和田誠の傑作には遠く及ばない。せめて「2の2の天和」をワンカットで見せてくれれば溜飲も下がったものを。
時代は変わる、馬鹿は変わるな。
原作小説の『麻雀放浪記』はおろか麻雀のルールすら
知らない自分だが、やたらギラついた映画を連発
してる白石和彌監督と、映画への造詣が深い上に
イケメンという許し難いスペックの俳優(←持たざる
者目線)、斎藤工主演というタッグに惹かれて鑑賞。
出演者のピエール瀧を巡り色々報道されていた本作。
あの件については様々な意見が出ていたけど、ま、
いつも通り作品単体としてレビューしていきます。
……とはいうものの、そんなグッと眉を寄せずに
「はー、くだらねーッ!」と笑えば良い映画でした。
...
あらすじ。
1945年の戦後日本で、麻雀に命を賭ける主人公・テツ!
ある夜テツは凄腕雀士たちとの対局で大技・九蓮宝燈
(ちゅうれんぽうとう)を成功させるが、その時に
発生した落雷の衝撃により、ディストピアと化した
2020年の近未来日本にタイムスリップしてしまう!
九蓮宝燈を成功させれば1945年に戻れると考えたテツは、
ヒロイン・ドテ子と共に、強敵との麻雀対決に明け暮れる!
くしくもその時、中止された東京オリンピックに代わる
国民的競技大会として、世界最強の雀士を決定する
『麻雀オリンピック』が開催されようとしていた……!
……は?
...
『日本で一番悪い奴ら』『孤狼の血』など、'70-'80年代の
邦画を彷彿とさせる"無消毒"感が特徴的な白石監督だが、
近未来SFギャグ映画である本作でも持ち味は健在。
今日日地上波でやったら色んな方面から怒られそうな
あんなシーンやらこんなシーンだらけだし、
くわえて今回は、もうどこからツッコめば良いのか
困ってしまうような荒唐無稽なギャグだらけである。
麻雀が国民的スポーツになっていたり、人工知能に
麻雀仕込んで世界征服みたいなノリになっていたり、
『麻雀オリンピック』なのに日本と中国の2ヵ国から
4人しか出場してなかったり、バカバカしさが全編に
満ち満ちておる。途中で何度「一体俺は何を
見せられているんだ……」と己に問うたことか。
白い内装+白い服装+白い軸無しセグウェイで表現した
SF的風景の激安感も個人的に笑いのツボで危なかった。
『翔んで埼玉』同様、こういうギャグは役者さんが
真剣そのもので演じるからこそ笑えると思うのだが、
その点で斎藤工、ベッキー、ピエール瀧、矢島健一は
非常に真剣な顔で非常にバカバカしくて良い良い。
なかでも斎藤工演じるテツは、色々と間違った方向に
振り切れている。強敵を引き寄せるため、“ふんどし王子”
としてメディアを席巻する流れは笑いを堪えるのに
必死だった。いくらイケメンでもあんな
変態ギリギリファッション流行るかいッ!
そこからなんだかんだあっての謝罪会見の流れも
超バカバカしい(この映画、謝罪率高過ぎない?)。
あとね、終戦直後から来た割にはタマゴの食べ方が
勿体無い。どうしていつも握り潰しちゃうの(笑)。
だがテツのなりふりかまわない麻雀馬鹿っぷりは、
どんな時代だろうが、どんな非難を受けようが、
好きなものを貫き通すという点で、なんだかんだ
格好良い所があるとも感じてしまう。
それに満載のギャグのうち幾つかは、すぐに
メディア発信のブームに乗っかる人々やら、
モラルを振りかざして安全圏から執拗に個人
を袋叩きにする集団心理やら、割とブラック
な笑いにまで昇華されている所が妙味。
...
とはいえ、総合的には「くだらねー!」と笑えば
良い映画なのでそこまでの高尚さやガッチリした
出来を求めちゃいけないです。笑いたい時の
息抜きとして観るくらいが丁度良いかな、と。
中弛みはあるしラストも粗いというかブツ切り
な感じだし(ドテ子どうなったの?とか)、
それに……下ネタが苦手な人ならドン引きするような
お下劣ギャグ満載なので、正直誰にでもオススメとは
いきません。まあ実は自分はそういうのニガテなので、
そこも含めて今回イマイチの2.5判定な訳ですね、ハイ。
なかでもベテラン怪優・竹中直人さんは登場シーンの8割が
ド下ネタでしたね。とても楽しそうで良かったですね(白目)。
...
以上!
イマイチの2.5判定とさせていただいたが、
麻雀好きで下ネタOKで、時代に逆行するような尖った
ギャグ映画が観たいという方なら3.5~4.0位かなあ。
まあね、観たくない人は観なけりゃ良いし、
観て笑いたい人は観て笑えば良いと思います。
その選択すらできなくなったら、それこそディストピア。
<2019.04.06鑑賞>
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