「邦画の人材の豊かさ」コンフィデンスマンJP movie mammaさんの映画レビュー(感想・評価)
邦画の人材の豊かさ
ずっと観たくてやっと観賞。
三浦春馬さんと竹内結子さんが亡くなってしまってから鑑賞したので、俳優として役に全うし輝いている美しい姿を瞼に焼き付けました。
ドラマ版をかじる程度にしか見ていなくても十分に楽しめる作品。
作戦会議中の海鮮店の店員のおばちゃんは、初見で氷姫とわかってしまったので、竹内結子はただただジェシーとダー子どちらの味方なんだろうという目線で見ました。
宝石カットの名人も紹介されたきり出て来ず、三浦春馬扮するジェシーがペンダントを持ち出した時に、あぁダー子と竹内結子は組んだのねと気付き、そこからは江口洋介が一泡吹く瞬間を早く見たくて。
三浦春馬は、キザな役を演じていても、キザになりきれない品の良さがあるので、個人的にはダー子に騙されてからのクズっぷりの演技が予想より上手で驚いた。
どの作品にも真摯に向き合っていく真面目さが印象的で、特に僕のいた時間での役どころでも誠実さが演技からも伝わってきて素敵な俳優さんでした。いまだにとても悲しいです。
竹内結子さんとのシーンも儚く美しくて、この2人が似たような亡くなり方でもうこの世にはいないんだと思うと、共演シーンで2人の間にはわかりあい通い合うなにかがあっての最期だったりしたら良いなと思いました。
使う予定のなかったファーストクラスのチケットは最初から偽物なのかな。
ジェシーに貢いで破滅寸前の鈴木さんになりかけていた、モナコ。ジェシーに弄ばれて詐欺師の末端になり、刺客として送り込まれているつもりが、ダー子チームにまるまる騙されて。最悪な気分だろう。
でも、小手伸也よりモナコの方が仕事をしていた。
取っても全く困らない資産に溢れた江口洋介からお金を取り、憎ませつつも刺激を与え、女を悲しませるジェシーを成敗し、儲けたお金をチームで山分け。
ダー子、氷姫に匹敵してる。
東宝シンデレラの長澤まさみが本当に東宝を背負って立つ存在になっていて、劇中でも若い子に仕事ぶりを示し抱え、作外で一大事になった東出昌大を懐大きくチームの一員として抱え、若いけれど大女優とはこういう存在のことを言うのだなと思いながら拝見。
女性リーダーというと男性顔負けの仕事ぶりに付随して少し角がある女性像を想像する日本人が多い気がしますが、実際に活躍している女性はダー子や長澤まさみのような存在の方が多いように感じる。
役の内容や大きさや存在感のよりも、チームで仕事をする上で、和やかな空気の連帯感を作り上げ、誰とも張り合わず朗らかにみんなが実力を発揮したことが作品から伝わってきて、脚本よりも心地の良さを好きになる作品。
裏切るのも自由と言うけれど、裏切りたいとちっとも思わないチームだからこそ。
偽りとわかっていても表面上の綺麗な言葉を求めて愛を欲してしまうけれど、目に見えない愛も流れていることがテーマの本作品。
作中のダー子チーム同様に、制作陣も小日向東出長澤トリオが年齢性別関係なく結束していて、長澤まさみがこれだけ弾けられるのも受け止める空気を他2人が持っているから。小日向さんが映像界で演技派を通り越し人材育成していることも、素晴らしいです。