さよなら、退屈なレオニーのレビュー・感想・評価
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【”蛍はいなくなった・・。” 17歳の少し生意気だが”何を遣りたいのか分からない”焦燥感と苛立ちを抱えた少女の姿を、複雑な両親との関係性を絡ませて描いた作品。小品だが、素敵な風合の作品である。】
ー 主人公の焦燥感と苛立ちを抱えた17歳の女子高校生レオニーを演じたカレル・トロンブイの時に物憂げな、時に17歳らしい少女の表情が印象的な作品である。ー
<Caution 以下、内容に触れています。>
・レオニーは高校卒業を一か月後に控えながら、退屈な毎日を、退屈な小さな町で送っている。
・義理の父ポールの事は大嫌いで、そんな男と暮らすイロイロと煩い母の存在も、面倒だ。
・頭は良いのに、何をやっても、一カ月と続かないレオニー。
・そんなある日、レオニーは町のダイナーで、”デロリアンに乗って来たみたいな、髭男”と出会う。彼は、超絶テクを持つギターの先生ジェームズだった。
ー ”RUSH”の曲に、個人的に盛り上がる。ソレニシテモ、ジェームズの速弾きテクは凄い。ー
・レオニーは、彼にギターを習い始める。
だが、ジェームズはバンドを組んで、町を出る気は無いらしい。
そして、レオニーは町の野球場で夜のバイトも始める。
照明を付けたりラインを引いたりするだけのバイトだが・・。
ー さっさと、町を出たいレオニー。町に居続けるジェームズの不思議な関係。ー
・大好きな、実の父が一時的に戻ってくる。
父は、且つて町一番の工場の労働組合を取り仕切っていたが、交渉が上手く行かず、今は離れた土地に独り住んでいる。
義理の父とは、当時から関係性があったようだ・・。
ー レオニーが義理の父を嫌う理由が、やんわりと描かれる。ー
・だが、義理の父から
”彼には別の一面があって、町を出たんだ”
と言われ、父に尋ねると
”本当だ。人生の最大の過ちだ・・”と、思いがけない返事が返って来る。
・ジェームズの母が急逝し、二人だけで葬式に立ち会う姿。父の時には沢山の弔問客が来たのに・・、と呟くジェームズ。
<レオニーの一夏は、大きな出来事が起こる訳でもなく、この映画はレオニーの姿を淡々としたトーンで映し出す。
だが、レオニーの中で何かが少しづつ変化していく様を、カレル・トロンブイが絶妙に演じている。
ラストの、この映画の英題でもある”蛍はいなくなった・・。” を逆説的に描いた、レオニーが野球場のバイトを辞め、暗闇の中でキャッチボールをする人々の奥の林に仄かな灯りを纏いながら飛ぶ蛍の姿。
レオニーは、未だ蛍の仄かな光ほどしか、自分を表現出来ていないのであろう。
だが、小さな経験を重ねた一夏で、レオニーは自ら強い光を発する女性になって行くのであろうな、と思った作品である。>
存在しないものを描いている
壮大な景色やレオニーのファッションはとても素敵でした。映画全体のトーンも素敵。
美しい少女が退屈な田舎町を捨てる話。
レオニーを主人公として描いているが、観ている者がレオニーに共感できるように描いてはいないように感じました。
観ている私たちは誰目線なのだろう。
これはきっと、若くて綺麗な女の子に田舎の悪いところを炙り出して破壊してほしいと願っている、田舎町出身のおじさん視点なのではないでしょうか。
美少女をよく分からない存在として書いておきながら、その実態、少女の目指しているものや将来について全く追求せず、ただ田舎の町のくだらないところを羅列し、イライラさせ、壊させる。
美少女信仰のようなものを感じました。
新世代っぽい、フレッシュっぽい映画だと思って観たので、そこが少し残念に思ってしまいました。
レオニーはどうなるか?
ある程度の知性、第一次世界大戦がいつ起きたか、冷戦とはなにかを理解する程度の知性ではあるが、ある程度の美貌、でも、家出した地で、若尾文子、高橋恵子、秋吉久美子、佐々木希の様に、発掘されるか、それだけが気になる映画でした。
ゴーストワールド……?
ツイッターかなにかで、ゴーストワールドが好きな人はオススメと書かれていたので期待して見に行きました。
結論から言うと、すごく面白いわけでもなく、めちゃくちゃつまらないわけでもない。
このような18歳の少女を描く映画は多数あり、きれいな結末へ結びつけるのは至難の業だと思います。
バスのシーンがちょうどゴーストワールドを彷彿させるところはありますが、正直レオニーとイーニッドが似ているということもないし、ゴーストワールドに比べると少し映画全体が中途半端になってしまったと思います。
個人的に、イーニッドとシーモアが一夜を共にするシーンが嫌いな私にとっては今回の展開の方が良かったとは思いますが、いまいちレオニーのキャラが魅力的に思えなかったということと、見終わった後の感情がゼロに等しかった。
期待していた分がっかりしたことが多かったためこのような評価をつけました。
美しい映画
レオニーちゃんがとにかくかわいく美しい。
10代の頃の物事の捉え方、反応の仕方なんてあんな感じだと思う。
ギターおじさんとのシーンが好きだな。
何かが劇的に起こるって映画じゃないから、退屈なひとは退屈かもしれない。
でも、10代のピュアさや繊細さが伝わってきて、レディバードもよかったけど、こちらも同じくらいよかったですよ。
ギターアンプの箱鳴りが印象的な『レディ・バード』ミーツ『卒業』
レオニーはケベックの海辺の町に暮らす17歳。高校卒業を目前に控えているが母とも母の再婚相手ともうまくいかず悶々とした日々を送っている。実の父親が彼女の心の支えだったがワケあって今は遠い町で暮らしている。そんな折町のダイナーで見かけたダサいネルシャツの男スティーブを友人とからかうが、なんとなく彼に興味を惹かれたレオニーは彼がギタリストだと知りギターレッスンを受けることにする。年老いた母と二人暮らしのスティーブの自宅に通ってレッスンを続けながら彼に少しずつ心を開き始めるレオニーだったが、久しぶりに帰郷した父を巡って自分の知らなかった事実が明らかになり、慎ましやかな平穏が揺らぎ始める。
なんとなく『レディ・バード』を彷彿とさせるプロットですが、レオニーには彼女のような猪突猛進さがない分より身近で等身大のドラマになっています。作品トーンは随分異なりますが、主人公が抱える虚無感、親の無理解、友人達との距離感といったモヤモヤを何度もバスに乗ってリセットする様と併せて『卒業』に似た余韻も感じました。原題は”蛍の消失”というフランス語だったのでどんな意味が込められているのかが気になっていましたが、それが物語とどう繋がっていくのかが本作の肝だと思います。細かいところですがリアルだなと思ったのはスティーブの自宅で鳴っているギターの音。VOXアンプの箱鳴りが家の中に壁伝いで響いているさりげない臨場感にグッときました。
不機嫌、八つ当たり、現実逃避
高校卒業を控えた女の子・レオニーの物語。
両親は離婚してて、母親とその彼氏と同居してるレオニーは不機嫌で、斜に構えてて、大人を信じていない。若者なんてそんなものと割り切りたいが、私には無理だった。レオニーに何一つ共感できない。
若いからって、悩みを抱えてるからって、八つ当たりしたり、いろんなことから逃げ出すのはどうなのよ?そこまで緊急避難的な状況ではないでしょ。
そして最後も納得がいかない。結局なんの話だったんだろう?って気持ちになった。カナダなんだけど、もろフランス映画!って印象。こういうのが好きって人がたくさんいるのもわかるけど。
レオニーの可愛さとギター講師とのやりとりはよかっただけに不完全燃焼だった。
青春映画
レディバードより大人しいし、スカした女の子の作品って感じ。セックスとかドラッグとかそう言うものが一切ないから退屈な感じはするけど、より10代独特の葛藤がリアルに繊細に描かれている気がする。
私は、退屈なゆったりしたスピード感こそ青春映画の良さだと感じたのでとても気に入った映画ですが、人によって好き嫌いは分かれそう…(終映後の観客の雰囲気もそれぞれでした)
レオニーのファッションがとっても可愛かったのでパンフレットを購入してみたのですが、監督の意見を読読んでみたら、彼の意図があまりにも社会性が強かったので少し見方が変わってしまいました…
少し残念です
所謂一つのカナディアン・グラフティ
高校卒業目前、自分の生きる道に悩むひとりの少女の成長譚、
身近な友人や家族との関わりから僅かな光を掴むことが出来た、のか、、
ラストはもちょっと明確な光が欲しかった。
しかしカナダのうら寂れた田舎の風景は良いですね。
主演のカレルちゃんも可愛かった。
白線を引くのは難しい
卒業を1ヵ月後に控えた17歳のカナダ人女子高生が家族や自分を考えるお話。
共に暮らす母親や代理父には心を開かず、友人と一緒にいてもちょっと浮いていて我が道を進みたい主人公がちょっと空気感の違うギター講師と行動を共にする様になって行くストーリー。
やんちゃな感じでもないし、修道院の件ではブチキレるも一人になってからだし直ぐに次を当たるし、実父が好きだし信頼しているが故のところから来るイラつきだったり、将来のことというよりも自分のいる場いたい場所を模索している様な印象。
主人公の成長物語なんだろうけど大きな変化はみられず、その年代を遥か昔に通り過ぎたオッサンには何とな~く気持ちはわかるよ程度だけど、不思議とつまらなくはなかった。…主人公がキレイな顔をしていたからか?
代理父との口論はもっと早くにあった方が良かった気がするけど、そうすると山が更に小さくなっちゃうか。
彼女がロリポップを舐めたら要注意ということで。
ところで、作中のラジオで話してはいたけれど、原題を把握していないと蛍の比喩はわかり難いし、最後はちょっとわざとらしい。
静かに反抗が進む
レディバードと比べると、同じ年代の、同じような悩みを持つ主人公だが、静かに反抗が進んでいく。
このくらいのテンポで話が進んでもいいのではないか。観ている側の心にしみじみと響いた。
しかし、若者の悩みは日本でもアメリカでもカナダでも変わらないものだと感じさせられた。
またも青春映画の傑作か。
「JUNO」や「レディ・バード」、「ぼくとアールと彼女のさよなら」など青春映画が大好きな僕にとって本作にはかなり期待が高まっていたため、東京国際映画祭の最終日に鑑賞してきた。
実父しか頼りにしていない高校生のレオニーがギター講師のスティーヴに会い意気投合。そんななか実父のある事実を義父から聞き… といったストーリー。
ティーンガールの映画はかなり好きで、情緒が不安定で、異性や友人、家族との関係もこじらせて、将来のことにも向き合えない… 男子よりもそれが顕著。そのキャラクターが持ってる感情に共感できたり、愛おしいと感じられるから青春映画は好きなのだが、本作で主に見られるキャラの感情は"閉塞感"。
何も上手くいかない中で色々と模索する少々が魅力的に見え、応援したくなる。レオニーは服もおしゃれなのもキュート。実父の事実を知ってから、思い出したかのようにスティーブをグチる。感受性豊かで、微妙な心情の変化がアクションとして見られたときに鑑賞者は引きつけられる。
主役のカレル・トレンブレイはナタリー・ポートマンやルーニー・マーラのような端麗なルックスで、今後の活躍にも期待したいところ。
やりきれない感情を持ちながらも、少しの希望の光が見えたことを蛍が暗示した。
不安定なティーンの情緒が美しい
なんでみんな将来のこと聞くの、人生は長いのにというセリフが印象的だった。
人生で数年しかないティーンという時期。危うさと不安定さ、純粋さが痛いほど染みてきて、年齢を重ねて振り返る事ができる年齢こそ感じるものがっあった。
レオのやさぐれた感じが、時にドキッとさせる純粋な美しさに変わる。
スティーブの弱さと優しさ、親との葛藤、色んなことを思い出させて身に染みる作品でした。
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