劇場公開日 2020年2月7日

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「香港ノワールのアイコン、チョウ・ユンファの起用そのものが大いなるトラップ。清々しいくらいに騙される痛快なクライムサスペンス」プロジェクト・グーテンベルク 贋札王 よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0香港ノワールのアイコン、チョウ・ユンファの起用そのものが大いなるトラップ。清々しいくらいに騙される痛快なクライムサスペンス

2020年12月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

90年代のバンクーバーで絵画制作に勤しむ恋人同士のリーとユアン。やがてユアンの作品は画商に認められて注目され始めるが、なかなか芽が出ないリーは贋作の制作に手を染める。そこに現れたのが“画家“と呼ばれる謎の男。画家はリーに贋札作りに協力することを要請、どんな贋札発見機でも検知出来ない精緻な贋札を作るため仲間達と試行錯誤を繰り返すが・・・からのクライムサスペンス。

山奥で隠遁生活を送っていたと噂されるチョウ・ユンファが久しぶりに堂々たる風格で演じる画家の存在が本作の肝。『ゴッド・ギャンブラー』シリーズや『男たちの挽歌』シリーズへのリスペクトが漲る映像はスリリングでダイナミック、香港ノワールの正当な後継作品を鑑賞しているなという至福感で胸がいっぱいになりますが、実はそれ自体が壮大なトラップ。周到に用意された精緻なドラマがまんま贋作であることが示されるクライマックスとレンブラントの絵画のような深い陰翳が印象的なラストカットに打ちのめされました。

運命に翻弄される主人公リーを演じるアーロン・クォックのヘアスタイルが独特過ぎて目を奪われてしまうのが唯一の難点ですがこれはメッチャクチャおすすめ、頭空っぽにして鑑賞することを強く推奨致します。

よね