「手堅いクライムサスペンス」プロジェクト・グーテンベルク 贋札王 しずるさんの映画レビュー(感想・評価)
手堅いクライムサスペンス
タイで偽札使用の罪で逮捕されたレイは、香港警察に身柄を引き渡される。警察は、偽100ドル札事件の犯人グループへの関与を彼に問い質し、グループのリーダー『画家』についての供述を迫る。『画家』による粛清を恐れつつ、彼は一連の事件の真相を語り始める。
『インファナル・アフェア』のフェリックス・チョン監督。伏線とどんでん返しの見事な脚本、スタイリッシュな映像や音楽、スリリングなアクションは、相変わらずの切れ味。
前半は、犯罪集団がチームプレイで偽札防止のギミックをひとつひとつ無効化していく楽しさ。きな臭さを増す中盤からは、アクションとバイオレンス。最終盤にサスペンス的どんでん返しと、様々なエンタメのテイストが味わえる。
真相は、何となくそんな感じだろうなーと薄々思ってはいたものの、一人称の物語の映像作品という、コンテンツそのものの特性を利用して、観客の認識を根底から覆してくるダイナミックさはなかなか爽快。
ただ、役者の顔判別が苦手な私は、役の把握がザックリ気味だったのと(特に女性の、過去と現在で髪型や雰囲気が全然違ったりするともう駄目)、種明かしの映像で役回りや人格がガラッと入れ替わったりするので、結局どこからどこまでがそういう事!?と、若干混乱してしまった。
真相を知ってからもう一度見返すと、伏線となるシーン、台詞の意味がピンときて、二度面白く見られるかも知れない。
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