「セリフが文語調。これでは俳優がかわいそうです。」家族のレシピ お水汲み当番さんの映画レビュー(感想・評価)
セリフが文語調。これでは俳優がかわいそうです。
この惨めな映画の出来ばえは、いったい誰の失敗のせいなのでしょうか。
斎藤工も松田聖子も、与えられたセリフを必死に口にしてはいるのですが、もともとのセリフ自体が翻訳直訳調、文語調で、セリフを自然に語るには固過ぎるのですよ。
シンガポール人の喜怒哀楽の表現方法を日本人が知るためのテキスト、という以上の価値が見いだせず。
何十年も持続し続けていた恨みや怒りが、たった一杯のスープでニコニコ顔になるなんて、そういうことがありえるとは普通には思えません。
その奇跡が、もしも、仮に起きたのだとしたら、観客を心の底から納得させられるだけの仕掛けや映画人としての腕前が必要だと思われますが、残念なことに納得感がまるでナシ。
バクテーは旨いのだろうけど、それを超える美味さの表現も観衆には届かずじまい。
日仏星3カ国共同制作とやらですが、船頭多くして……というパターンの、一つの典型的な失敗作品なのだろうなと、寂しく感じたのでした。
コメントする