「食うってそういうこと?」東京喰種 トーキョーグール【S】 水曜日さんの映画レビュー(感想・評価)
食うってそういうこと?
〜鑑賞者情報〜
原作未読、前作鑑賞。
ざっくり言いますと、
・映像や音楽、全体の雰囲気かっこいい(冒頭のシーンがクール!マギーの発声の瞬間からかっこよさ消し飛ぶ)
・キャスト最高(マギーと先輩と友達以外)
・脚本薄い
・マスクつけてよ金木くん
・そして清水富美加さんは伝説となった
という感じでした。
<内容>
他の方のレビューにもある通り、月山君が素敵です。この作品、スピンオフ月山習として見るとかなりスッキリ見れるかと(テーマ性、伏線回収、喰種の苦悩をあまり描かない理由において)。
そう、タイトルの【S】とは習のエスだったのです(嘘)。
月山はそういう意味でカネキくんを食べました。
そんなこと思わないと腹落ちしないくらい、脚本が薄味に感じられました。怖いグロいのが実は苦手なわたしが、目をそっとつぶりながらも鑑賞したのは、前作の金木くんと亜門のクライマックスの戦いにおける窪田さんの演技に凄まじいカタルシスを感じたからです。
ウヘヘ!人間やっぱ喰う!→うおおおお傷つけさせないでくれえええ泣と本能と理性、情けの葛藤が余りにも素晴らしく・・・この設定の中での窪田さんの演技に期待しておりました。
しかし。今作では金木ひいては喰種全体の苦悩的なものにフォーカスされず、ただ血をワインのように飲んだり、ぶった切ったりと、享楽としての人喰ばかりが映し出されました。あんていくのマスターがフォローしてましたが物量的に敵わず。
元リゼかぐね&金木きゅんマスクという最強萌えタッグは一切なくなりました。一切です。なぜに!!!だったら赫子出したくない理由をもっと掘り下げてくれ、と思いました。ボコボコバキバキにされても赫子出さない金木くんに何やってんの?と思う方いませんでしたでしょうか?
これに代表されるように、登場人物の背景の掘り下げがほぼないのがこの脚本の薄味感の正体なのだと推察します。
<キャスト>
トーカ:山本さん、美しく、いかにも強そうでよかったです。
しかしかなり塩です(脚本のせい)。強い、ドライ、となるとただ平伏すしかありません。それはそれでいいですが、前作の儚く果敢なトーカ像とは違ったのは事実です。だからこそ清水さん版トーカは伝説、と自分の中では認定されました。だって本当に尊い。
月山:はじめに述べた通り素敵です。カネキくんを食べたいいい!など正確に言っても意味が不明なセリフや終始変態なキャラを緩急交えて表現できるのは本当にすごいと思いました。試食の後の一言「・・・トレビアン」は、言葉を発してポーズとってるだけではない、奥底からの歓喜を内包した最高の演技だと思います。この表現力がなければ月山はただのギャグになってしまいます。
カネキ:前作よりコミュ障が板についてさらにナチュラルになってスッと入り込めました。ただ構成上の問題により、彼の素晴らしさが発揮できておらず、ただ残念です。しかし、アクションのキレや、指先までの表現など、体の使い方は前作同様とても美しいです。どうでもいいからマスクつけてくれ、と何度も願いました。
亜門:登場シーンかっこよかったです!あの大きな武器を振り回しているのに嘘っぽさがない骨太な動きはすごかったです。ただ、一瞬しか出ませんが。残念。
その他:喰種・人間カップルはエピソード、役者さん、全てわたしの邦画苦手要素が詰め込まれており、早くいなくなれ〜と祈ってました。回想シーン後に月山が先輩を「鬱陶しい!」と連呼しながらめった刺しにするシーンには、けしからんもっとやれ、と思いました笑 すみません。
JYさん、日本語堪能ですね!ただ、ひと昔前のバブリー演技が何とも白けさせます。
<全体として>
違う方向に舵を切った作品ですね。
本当に欲を言えば、前作の脚本スタイルと今作の映像が合わさると最高かよ、になると思いました。
ほんと薄味だったので評価は2.5です。
しつこいですが、カネキ君とりあえずマスク着けてください(嘆願)。