劇場公開日 2020年2月7日

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「金返せのレベル」ヲタクに恋は難しい 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)

1.0金返せのレベル

2020年2月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

寝られる

 高畑充希が歌が上手いのはもちろんだが、山崎賢人の歌も意外に上手だったのが唯一の収穫と言っていい。ストーリーは平板だし、ミュージカル仕立ての歌と踊りがいちいち面倒くさい。歌と踊りの場面になるたびに、早く終われと願ってしまった。漫然と繰り返される歌と踊りのシーンのおかげで、登場人物の造形が主人公ふたりも含めて限りなく浅いものになってしまった。これでは感情移入できないし、楽しめない。
 福田雄一監督は「50回目のファーストキス」ではテンポのいいストーリーを上手に仕上げていて大変に面白かったのだが、あれはやはりハリウッドのリメイクだったからなのだろうか。オリジナルだと「勇者ヨシヒコ」の世界から一歩も抜け出せないのかもしれない。
 佐藤二朗はどんな作品でも同じ演技だ。簡単に言えば、もう飽きた。この人に違う演技をさせたのは「宮本から君へ」の真利子哲也監督だけだ。あの作品での佐藤二朗は存在感があってよかったのだが、本人の持ちネタではないから二度としないだろう。佐藤二朗は一発屋芸人のように早く消えていってほしい。この人が出演するとどんな作品でも台無しになる。
 私美人でしょという雰囲気の菜々緒とエキセントリックな上司役の斎藤工だけはしっかりとポジションを確保していたが、他は佐藤二朗や賀来賢人など、持ちネタを披露するお笑い番組になってしまっていた。そしてその持ちネタというのが単にクドいだけの冗長なもので、見るに堪えないものばかりである。
 劇場で鑑賞した作品の中でこれほどひどい作品は記憶にない。映画は最初から最後のエンドロールまですべて観るというポリシーがあるから、途中で席を立つことなく最後まで観たが、ほぼ苦痛の時間だった。なんでこんな映画を作ってしまったのか。金返せのレベルである。

耶馬英彦