「常識という敵と戦う映画」グリーンブック pekepekeさんの映画レビュー(感想・評価)
常識という敵と戦う映画
常識という敵と戦う映画
その常識の象徴がタイトル「グリーンブック」なのだろう。
1960年代のアメリカそこに根付く差別意識がどういったものか
またそれをどう受け入れ変えていくかを描いた作品
大きく世界を変えたわけではないが、
個人と、登場人物の手の届く周りへ変化を与える様子を丁寧に描かれている。
はじめはかなり差別主事として主人公は描かれるが、
出会いをきっかけに人種を受け入れていくさまが描かれるが、
このキャラクターは常識がずれているので、
今までかかわりがなく知らなかっただけで、
知り合いになれば、
簡単に受け入れるといった性格であったので、
受け入れる者の変化という曲線は描いていないが、
本当はかなりの差別というものがこういった形で起きているのだろうなと考えさせられる。
また、この作品の優れた部分は、
差別という孤独を抱えるサブ主人公のキャラクターが、
特殊な才能ゆえに差別される側にも受け入れられず孤独を抱え
さらに、差別主義者達の中でのし上がる彼はそこでも孤独を抱えるといった
3重苦に陥っている点である。
あらゆる場所で孤独を抱える彼は、
世界を変えようと、差別を耐え努力するが実らず苦しむ。
そんな彼が自分自身の出自を受け入れ
最後、主人公の家族に受け入れられるという
小さな変化を感じられてきっと
幸せだったろうと思わせる最後になっていた。
本当はサブ主人公が抱える問題は、
もう1つあるが、それはあまり重荷として作品の中で描き切れていなかった。
また、上記のような
粗雑だが、自身の価値観をきちんと持ち、
目で見たことを信じ、常識を簡単に捨ててしまえる主人公と、
迫害されるため、自身のコンプレックスを隠し、
世界に併合しながらも変えていきたいともがくサブ主人公
といった形で、あらゆる点で、コンビを対比させることによって
この2人の会話が常に危うさを持っており、見ていて飽きない工夫を入れられている。