「こんなカッコいい友達なら誰だって欲しい」グリーンブック かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)
こんなカッコいい友達なら誰だって欲しい
実話を元にした物語。
タイトルになったグリーンブックとは、人種隔離政策時代のアメリカで発行されていた、
『黒人ドライバーのためのグリーン・ブック』
というガイドブック。
【ストーリー】
ニューヨークのクラブで働く用心棒のトニーは仕事上の揉め事で、クラブそのものが閉鎖される。
マフィアのツテで、オペラハウスの2階に住む、黒人ピアニストのドクの演奏ツアーに紹介され、ドライバーとして同行する事に。
世知に長けたトニーだが、どうにも行動の規範がゆるく、生まじめなドクにチクチク当てこすられる。
かみ合わない二人だが、ディープサウス(アメリカ深南部)で出くわすさまざまな社会問題に対面するうち、お互いに敬意を抱くようになり、だんだんと心の距離が近づいてゆく。
腕っぷしと口の達者さで生きるイタリア系の用心棒トニー・ヴァレロンガと、気品漂うアフリカ系クラシックピアニストのドン・シャーリー。
典型的な裏社会で生きるイタリア男と、黒人天才ピアニストの凸凹コンビが、お互いのギャップを埋めて友情を育むロード物。
ロード物とは、目的地まで移動しながら物語が展開してゆくジャンルです。
実話ベースだけあってエピソードはどれも生々しくピリ辛でときに重苦い。
あらゆる事におおらかでいい加減なトニーと完璧主義的な潔癖さをみせるドクとのやりとりが、ユーモラスでいちいち面白い。
愛する妻に日記のような手紙をしたためるトニーに、美しい表現と気持ちを表す文章を教えるドクと、ケンタッキーフライドチキンも知らないドクに、手づかみで食べる骨つきチキンの旨さを教えるトニー。
そしてドリンクをポイ捨てして、バックで道を戻らさせられて、ゴミ拾いするトニー。このシーン最高。
旅が進むにつれて黒人差別を目の当たりにしたり、受けたりしつつ、少しずつ変わってゆく二人の関係。
二人とも行動にぶっとい筋が一本通っているのが魅力的でカッコいい。
そしてラストの温かいクリスマスパーティー。
笑って泣けて、ほっこりできるヒューマンドラマの傑作です。
たくさんの共感とコメントありがとうございます。
この作品の2人は、おっしゃるとおり、とてもカッコよかったです。
JFKの名が出てきたのにも驚きました。そういえば、オッペンハイマーでも・・・