劇場公開日 2019年3月1日

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「現実そのものを映画化することは可能か。」グリーンブック Shunsuke Fushimiさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0現実そのものを映画化することは可能か。

2019年4月10日
iPhoneアプリから投稿

たしかに、差別の表層しか描かれていない。しかし、現実そのものを描くことは無理だ。なぜなら、現実そのものは現実にしかない。したがって、描くという意味で映像に写す/移すことはできない。唯一可能なのは、直に撮ったドキュメンタリー映画である。
また、メッセージや勇気、内省を観客にプレゼントするのが映画の役割である。

「この救いようのない人生をスクリーンで見たい」「希望も光も笑いもユーモアもなしで」「ありのままを見せてくれ」「感情の高まりなんか描かずに美しさのかけらもないむき出しの現実を」「クソな人生を映し出す重苦しいドキュメンタリーを」無理だ。

これはグザヴィエドランの言葉だ。重いだけの映画は映画ではない。なぜなら、役割を果たせないからだ。

Shunsuke Fushimi