「Green Book」グリーンブック vary1484さんの映画レビュー(感想・評価)
Green Book
今年の映画賞にも軒並みなを連ねるこの作品。これをいうとすこい批判的に聞こえてしまうかもしれませんが、この作品もまた人種差別を扱った作品です。誰もが理解できるような、とてもシンプルなストーリーに歴史的背景、音楽を盛り付けた万人受けするであろう作品。
コメディということで、多くのシーンで笑えるのですが、そのユーモアもかなりプレーンで気兼ねなく笑えます’。オスカーノミネート作品で比較すると、”女王陛下のお気にいり”の少しゲスな笑いや、”ブラック・クランズマン”のような少し風刺の効いた笑とは違い、子供でも笑えるようなところがこの作品のいいところです。あまり他の作品と似ているとか言うのは好きじゃないのですが、2012年のフランス映画”最強のふたり”と同じようなテーマ、トーンです。地位が逆転しているところが面白いところなんですけどね。
ヴィゴ・モーテンセンはもうロード・オブ・ザ・リング時代のあのかっこいい姿はなく、ビールっ腹のでたおっさん役。そして、マハーシャラ・アリは天才ピアニスト役。あまり音楽のシーンは見ものとは言えませんが、2人の会話シーンは面白いですね。特に車の中のシーンはこの作品の最も中身の詰まったシーンです。それにしても、マハーシャラアリはすごいな。ハウス・オブ・カードで知ってからというもの、結構いい人の役が多いんですが、めちゃめちゃ悪役とかやってほしいな。目が怖い。あまり感情がないシーンでの彼の表情はかなり印象が強いです。
この作品、映画賞にたくさん名を連ねてるのですが、映画の質としてはあまり高くなかった気がします。テーマが黒人社会と人種差別の歴史なだけに、注目を集めてますが、なんかそれだけな気がしてしまって残念でした。
エンディングなんて特に、何で雪降らせなくちゃけなかったんだろうと言うぐらい見え見えのVFXショットに興ざめ。家族の関係性にもほとんど起承転結がなく、手紙でロマンチックだーって言うぐらい。さらに、フランクのキャラクターも最初はかなり濃いキャラクターを持っていたのですが、急にめちゃめちゃいい人になってしまうところも、あまり感情を動かされませんでした。
クリスマスムービーなのかな?というぐらいとても平坦で、分かりやすい。笑える作品です。中学生とかに見せてもいんじゃないかなと思いました。