劇場公開日 2019年5月31日

  • 予告編を見る

「いいなぁ、中野量太ワールド」長いお別れ 高坂圭さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0いいなぁ、中野量太ワールド

2025年1月6日
PCから投稿

「湯を沸かすほどの愛」の

中野量太監督がまた魅せてくれます。

認知症の父と家族の物語を、

ここまで優しく愛しく描いた映画は

ないんじゃないかな。



僕は喪主として両親を見送ったけど

介護も認知も経験しないままだ。

けれど周りの人の話を聞く限り、壮絶な

日々を家族は強いられることが多い。

だからこの話は甘すぎるし、キレイすぎる。

ファンタジーといってもいいかもしれない。

でもそこが胸を打つ。



これまで映画や歌やテレビを作ってきた。

いつも願っていたのは、人間のキレイなことを

書きたいということだ。

だけど腕がないので、たいがいキレイごとになって

しまう。



生きていてよかった。

人生捨てたもんじゃない。

観客にそう思ってもらえるのは、

現実の悲惨さや醜さを描く物語より

何十倍も難しい。

監督は見事にそのハードルを越えている。

主演の山崎努さんに、スタンディングオーベション!

高坂圭