「一気にリアリティが失せるところが残念」長いお別れ xmasrose3105さんの映画レビュー(感想・評価)
一気にリアリティが失せるところが残念
辛口でごめんなさい。私には演出過多に感じました。
もっと観客を信じていいのに。
行間でわかるのに、もったいない。
最後に危篤の父さんのために病室で誕生日会をします、がそこのところ。お父さんにパーティ帽子を被せようとベット上で引き摺って。まるでbody(死体)モノを扱うかのような。あれでリアリティが一気に失せた。
あれは心情的に、死に際の父親に絶対できない。
ユーモアでもってリアリティを見せようという意図はわかる。リアル過ぎてコントになるのは現実でもよくあるので、そこを拾えるかどうかが、別れ道だと思うのです。でもあざと過ぎた。やらせ感で、しらけてしまった。そこだけが記憶に残って、他が消えてしまった。
妻役の松原さん、今回はこの方が肝でした。この頼りなさげなお母さんが、天然で、でもこの人の無垢な感じが家族を繋いでいます(本当は芯が強い、映画の最後にそれがわかる一言)。名演。
だからとっても残念に感じた。
監督の「湯を沸かす〜」の時も同様で、
最後にタイトルがダーンと出てきて煙突から赤い煙がもくもく...せっかく宮沢りえさんの迫真の演技が..台無し...
一気にああ、そう、作り話を見ていたんだった、うっかり本気にしてたわー、といきなり現実にもどらされた。全編見て、あそこしか記憶に残らない。他がかき消されてしまう。
これはこの監督のクセ?確信犯ですね。
若さゆえ、かな。自分の色を出さずにはいられない。
そんなことしなくても、充分わかりやすいのに。
すごく美味しくできた料理に、最後にいつもおさえで「味の素」かけちゃう、そういう感じ。
要らないのに!残念。
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