「リリー・フランキーの演技をもっと見たかった…。」一度死んでみた yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
リリー・フランキーの演技をもっと見たかった…。
浜崎慎治監督は本作が長編初作品ということです。主人公、七瀬を演じた広瀬すずは、前作の主演作『ラストレター』とはかなり雰囲気の違った演技を披露しています。
製薬会社の社長である七瀬の父親の死を巡る騒動を主筋に、作中様々に仕込んだ伏線をきっちり回収していく丁寧さには心地良さすら感じました。浜崎監督は本作で、CM制作で培った手腕を見事に発揮しています。
一方で、葬儀の段取りを巡るやりとりなどでは、演出優先の無理筋が目に付き、少し醒めた感覚になりました。葬儀の段取りを巡る攻防において、登場人物の口から「いやこれ変でしょ」といったツッコミを入れるなどすれば、「ああ、これは演出として見せているんだ」と観客も理解し、安心して笑えるるのですが。コミカルな騒動としめやかな儀式が何の補足もなく同時進行してしまうと、この場面の現実味をどの程度受け止めたら良いのか、迷いが生じました。本作の狂言回しであるリリー・フランキーが、常に一歩引いたところにいて、小声で突っ込むだけ、という使い方も幾分もったいなかったです。
しかし彼も嶋田久作も、それぞれの役割でさすがの存在感を発揮していて、彼らに負けない演技の広瀬すずには改めて感心しました。
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