「不思議に心に残る傑作」一度死んでみた 耶馬英彦さんの映画レビュー(感想・評価)
不思議に心に残る傑作
澤本嘉光の脚本がとてもよくできている。妻夫木聡と北川景子が主演した映画「ジャッジ」の脚本もこの人で、同じようによくできていた。本作も伏線の出し方が上手く、最終的にすべての伏線をスマートに回収する。爽快で後味のいい作品だ。
主演した広瀬すずが素晴らしい。福山雅治主演の映画「ラストレター」のシリアスな少女もよかったが、本作品の主人公のような単細胞の女の子を演じて観客を笑わせることもできる。非常に感心した。日本のコメディエンヌは、誰もが知っている有名女優の中では綾瀬はるかが一番で、「翔んで埼玉」の二階堂ふみが二番手に浮上し、そして本作品によって広瀬すずも頭角を現してきたと思う。歌も上手いから、是非綾瀬はるかを超えてほしい。
豪華な脇役陣というのも変な言い方だが、妻夫木聡や古田新太、竹中直人、佐藤健など、有名俳優が端役で出演しているのもなんだか楽しい。
堤真一演じる野畑計社長のすっとぼけたキャラクターがストーリーの核となっていて、映画が現実から乖離しすぎることがない。冥土への案内役を演じたリリー・フランキーの飄々とした演技も秀逸。藤井さんの松田翔太がauのテレビCMにのキャラクターみたいにゆっくりしているところも面白い。
大人たちが真面目に馬鹿を演じる正統派のコメディで、愉快に鑑賞できるしいくつかの場面は不思議に心に残る。傑作である。
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