劇場公開日 2019年12月27日

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「松竹の金字塔を令和に」男はつらいよ お帰り 寅さん トシくんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0松竹の金字塔を令和に

2020年3月19日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

幸せ

子供の頃実家の前が松竹系の映画館でした。毎年元日は映画館のスピーカーから大音量で流れる「私、生まれも育ちも葛飾柴又...」この音楽で目覚めるというのが自分の年始のスタートでした。まだ幼稚園から小学校の低学年の頃はその映画館は遊び場でもあってモギリの人の座っている番台のような席より低い身長の子供は気がつかれずに劇場に入りスクリーンの前の特等席で爆睡し支配人に抱っこされて家まで送ってもらったこともあったと母親が話してました。
そんな思い出の「男はつらいよ」。このような男の情念、哀愁はもちろん子供の私には理解できず、「こんな大人になったらおしまいだ」「なにが男はつらいだ!こんな親戚のおっちゃんいたら家族はもっとつらいぞ」
と全否定していたようです。その後は寅さんどころか自分の家の前が東宝ならゴジラとかみれるし、東映だったら漫画祭りや仮面ライダーがみれるのによりによってなんで松竹なんてと配給会社にまで悪タレをつく始末。
その映画館も閉館となり一時期映画に対し全く興味のなかった私は寂しいという感情すら芽生えませんでした。

その後大人になった私は映画にはまり「男はつらいよ」が松竹の金字塔と当然知ることになる。フーテンの寅のダンディズムや哀愁もわかる年齢になった。しかし名画座がどこにでもあるわけでなく、また今更DVDでシリーズ全て見返す余裕もなく半ば諦めかけていた矢先のお帰り寅さんに心踊った。

とはいっても渥美清さんは亡くなっている。適当な編集で安っぽい仕上がりだったらどうしよう。流石、山田洋次監督。自分の分身のような作品をぞんざいにするわけない。ほぼ当時からのオリジナルキャストを起用しつつも、寅さんを知らない人でもついていける脚色となっている。細かい部分は良しとして令和になって子どもの頃大嫌いだった寅さんにもう一度巡り会えたのは感激でした。寅さんをどう思うかって?
かっこいいよー大好きです。
いつまでかかるかわからないけど全シリーズ観賞するぞー^_^

トシくん