劇場公開日 2019年12月27日

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「先生、俺のことを意識しすぎなんだよ。」男はつらいよ お帰り 寅さん rebue eigaさんの映画レビュー(感想・評価)

先生、俺のことを意識しすぎなんだよ。

2020年2月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

観客は、渥美清さんが出ていないのは百も承知で、観に行きました。
ノスタルジーもあるかもしれないけれど、「男はつらいよ」への変わらぬ期待感を持って。
皆で大笑いして、うんうんとうなずいて、ほろりときて、「さあ、明日からまたがんばりましょう」と伸びをして席を立つのが、「男はつらいよ」。
それを大前提に作られたなら、渥美さんが出ていなくても、「ああ、「男はつらいよ」だ」と言えたはず。
感想は、「これもなかなか…」となれば最高ですが、「やっぱり渥美清は偉大だな」となっても、観客としては、それはそれでよかったのです。
しかし本作は、「男はつらいよ」とはまったくの別物でした。
NHKBSのほうにあえて礼儀も(センスも)ないタイトルを付けたくせに、「贋作」のほうが真作に近いという皮肉。
山田監督はこの映画を誰のために作ったのでしょうか。観客のためでしょうか、自分自身のためでしょうか。
「先生、俺のことを意識しすぎなんだよ。それに、インテリだから難しいことばっかり考えたがるんだろうけどさ。今度はもうちょっと、観客の身になって作ってやってくれよ。俺もお盆には映画館に足を運べるからさ」

rebue eiga