劇場公開日 2019年12月27日

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「お正月に相応しい、質の高い映画」男はつらいよ お帰り 寅さん movie46さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5お正月に相応しい、質の高い映画

2020年1月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

難しい

とても良い映画でした。
人情、とは少しありきたりな表現ですが、この映画シリーズがうたってきたものの集大成だと思わされました。

物語の至る所に、寅さんの人情は次の世代にも確実に受け継がれているのだという、山田洋次監督のメッセージのような物が感じられました。

オープニングの演出や回想シーンの多さはちょっとここ数年の映画に見られる悪い作り方が垣間見えましたが、話が進むにつれて、そんなことは小さな事だと思わされます。

映画の中身については、
人それぞれ物事への感じ方も抱える悩みも違うという事を描きながら、随所に空気を壊さない程度の、山田洋次らしいギャグが光ります。
寅さんがいてくれたらなぁ。そんな感情が、このシリーズを数作品程度しか見た事がない私にも芽生えました。

寅さんを見てきた世代の方々、そんな親に育てられた方々、みんなが懐かしむことができるかもしれません。

お正月映画に相応しい、質の高い映画です。

男はつらいよシリーズは、亡くなった父がよく観ていました。小さい頃の私は、寅さんがお気に入りだったそうで、寅さんの俳優、渥美清さんが亡くなった時、残念にしていたそうです。記憶はあまり無いですが…
学生時代実家に帰省したときの事、遠野英治郎さんが出演する、寅さんが母親を探す映画を、父が借りてきたのを一緒に見たのを思い出します。唯一真面目に見たことのある男はつらいよでした。
あの時にはじめて面白いと感じていなかったら、今回この映画は見ていなかったかもしれません。

レビューなのに最終的に自分語りになってしまいましたが、個人的に評価は4、思い出補正で4.5
父が好きだった映画の最新作、父の供養になったかな。喜んでくれたかな。山田洋次監督、ありがとう。

movie46