「山田洋次監督の遺言状」男はつらいよ お帰り 寅さん sallyさんの映画レビュー(感想・評価)
山田洋次監督の遺言状
最初に言っておくと、この「男はつらいよ」シリーズって、48作目の「男はつらいよ 寅次郎紅の花」のマドンナが、浅丘ルリ子さん演じるリリーさんで、最後は、寅さんとリリーさんが同棲のような感じで終わって、渥美清さんには悪いけど、その映画を最後に亡くなってしまい、私の中では、リリーさんか、八千草薫演じる志村千代さんと結ばれるといいな思っていたので、48作目で「男はつらいよ」が終わったので、私の中で大変に納得感と満足感が有ったので、勿論ですが、新作やリメイクなどは望んではいませんでした。
そして、それから時が経ち、「男はつらいよ お帰り 寅さん」が制作される事が発表され、満男のその後の話だろうと分かっていましたが、しかし、やはり大好きな映画でありシリーズだったので、どうなるんだろうと試写会当日まで大変に楽しみにしていました。
私自身、スクリーンに本作品が映写され話が終わるまでなみなみならない気持ちで本作品を鑑賞させていただきました。
で、本作品を見た感想ですが、さすが、山田洋次監督ですね。よくここまで話を作り上げたかな・・・・
山田洋次監督には申し訳ない事を言うと、本作品、「男はつらいよ」シリーズの集大成ではなく、山田洋次監督の遺言状と捉えました。
山田洋次監督自身にとってもこのシリーズはとても想い入れが有って、本人の中でも、しっかりケジメと言うか、ピリオドと言うか、今の日本の生活感にこのシリーズを通して何かを訴えたかったのか、隣、近所が有って、そこには人としての思いやりや信頼感があり、それが日本人の良い所だと言わんばかりに、私が見ても、なぜか懐かしさを感じてしまう・・・・・
また、元気だった頃の渥美清さん、三崎千恵子さん下條正巳さん太宰久雄さんが当時のシーンで大きなスクリーンに蘇えると、懐かしさと共に、会った事はないのですが、なぜか、悲しい気持ちにもなりました。
しかし、本作品、「男はつらいよ」シリーズって本当にいいですね。改めてこのシリーズの良さを再確認できました。
寅さんの幾つかの台詞がありますが、あえて言えば、何時聞いても良いですね。
あのセリフに大変に憧れました。
正直、本作品、スピンオフ的な要素の方が強いのですが、しかし、当時、まだ寅屋さんの家族が元気だった頃、誰かに焦点を向けたスピンオフが数本有っても良かったかもしれませんね。
強いて、難と言うか言ってしまえば、サザンの桑田さんの起用はミスマッチだったかな・・・・・
本作品を通して、「男はつらいよ」シリーズを知らない若い世代が、興味を持って頂き、本作品が何時までも忘れられず後年に残って貰えれば、ファンとして嬉しい限りです。