劇場公開日 2018年12月8日

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暁に祈れのレビュー・感想・評価

全63件中、61~63件目を表示

4.0地獄で何を思ったか

2018年12月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

見所満載で、とても力強い作品だった!

面白かった!

イギリス人ボクサーのビリーは、タイで麻薬を使用したとして逮捕、収監されるが、その刑務所がとんでもない地獄で…

まず、ビリー本人が、とんでもなくダメな人で
麻薬をやって地獄へ送られて
さらに、またその地獄でも麻薬をやってしまう

とにかく意志が弱い

しかし、そんなダメダメなビリーを見ているうちに
彼はあらゆることに不安なんだなというのがわかってくる

言葉のわからないタイでボクシングをしているが、一流にはなれず
麻薬をやっても解決しないのに手を出してしまい
その快楽に溺れるようになる

そして、刑務所へ入っても、その不安が消えることはなく
さらに、麻薬を常習するようになる

そんな彼を救ったのが
刑務所で出会ったムエタイだった
必死になって練習して、相手を打ち負かした時、ビリーは快感を覚えるようになる

それはビリー自身の内面にある怒りを解き放した瞬間でもあり
麻薬とは違った快楽を感じたのだろう

そこから、彼はドラッグを断つ努力を始めるようになる

これは、ビリー本人が麻薬地獄から抜け出せるようにと祈り続け
やがて、その夜明けにたどり着く
ビリーが人として目覚める話だった

そのビリー自身の成長の話にも感動だったけれど
タイの刑務所の地獄っぷりも、かなり眼を見張るものがあった

映画を観る前に丸山ゴンザレスさんのトークショーがあって
撮影で使われた刑務所のレポを観たのだけど、
なんだろう
刑務所というよりも、家畜小屋っていう印象

人権なんて、まるで感じられない
まさに地獄

こんなところにいるぐらいなら、ラリってた方がマシっていう気持ちは、分かる気がする

それでも、ビリーがそこから何とか這い上がって生還しようと思ったのは
彼の中に生きたいという気持ちが残っていたからに違いない

そのことに、ビリー本人が気づいた時が
ビリーの夜明けの時だった

ごみ溜めのような刑務所の映像には、かなりショッキングな部分もあるけれど
この世のリアルな地獄を観たい人は是非

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とえ

3.0

2018年12月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

クレイジージャーニーなどで知られる丸山ゴンザレス氏のトークショー付き試写にて。本作のウリは「出ている囚人はメインキャスト以外全員が元囚人や、ムエタイ選手。ロケ地も刑務所の廃墟」というところ。映画で出てくる刑務所の実情は本当に想像を絶する。グロ耐性がいくらあっても、画面から放たれる異様な嫌悪感に思わず目を背けたくなる。まさに厭な感じなのだ。レイプや暴行が横行する刑務所は地獄という表現がぴったり。

でも、肝心のムエタイ要素があまりなく、ボクシング映画特有の胸熱的な展開もあまりない。
ロッテントマトでの高評は聞いていたが、タイのヤバい刑務所事情を知ることができるだけの映画だった。そして自分はかなり嫌な気分になって、映画館でもかなり窮屈な気がした。感情描写もあまりない。というか主人公がかなり自業自得。

ラストシーンはかなり美しい。

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こうき

3.5絶望を越えた先にあるのは、痛みという名の悲しみのみ。

2018年11月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

怖い

難しい

痛い、痛い…。
観ているだけで目を覆いたくなるような、絶望の世界を観てしまいました…。
タイの刑務所がここまで酷いとは…。
21世紀の刑務所とは思えない壮絶な環境の連続に、よくぞ生きているなと思いました。

タイの刑務所って、日本と全然違う…。
多分日本人の犯罪者があそこに放り込まれたら絶対生きていけないと思います…。

ヤクザでもないのに、みんな日常的に身体中に刺青を入れ、己の強さを肉体を持って表現するという、過酷な世界。
ここでは、肉体のみが自身の力の強さを表現できる、まさに弱肉強食!

殺人、レイプ、汚職なんでもありの環境の中で生き残るためには、自分の腕力に頼るのみ!

そんな壮絶な環境に放り込まれた1人の白人ボクサー。
何度もやられそうになりながらも、その拳で必死に抵抗していきます。
その強さは周りのタイ人も一目を置くほど!

喧嘩して、戦って、半殺しにして、自分の筋肉にすがりながら必死に抵抗し、ドラッグの力を借りながら、強くなっていく姿が凄まじかったです!
彼の血の滲むような努力には感服しました…。

こうして、3年間も過酷な刑務所生活を続けた彼。
彼がこの刑務所生活に耐えられたのは、ムエタイボクシングクラブのボクサーになったからこそ。
ボクサーという職業が、彼の心の支えになるとはなんとも皮肉な話です…。
もしクラブという心の拠り所が無かったら、とっくに生き絶えていたでしょうね…。

最後の最後に衝撃のラストが待っていたことにビックリ!
おお〜!
そうきたか、と思わず言いたくなるような展開でした。

濃密な空気の中の117分。
この重苦しい空気は劇場でないと味わえないと思います…。

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ガーコ