劇場公開日 2018年12月8日

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「地獄で何を思ったか」暁に祈れ とえさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0地獄で何を思ったか

2018年12月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

見所満載で、とても力強い作品だった!

面白かった!

イギリス人ボクサーのビリーは、タイで麻薬を使用したとして逮捕、収監されるが、その刑務所がとんでもない地獄で…

まず、ビリー本人が、とんでもなくダメな人で
麻薬をやって地獄へ送られて
さらに、またその地獄でも麻薬をやってしまう

とにかく意志が弱い

しかし、そんなダメダメなビリーを見ているうちに
彼はあらゆることに不安なんだなというのがわかってくる

言葉のわからないタイでボクシングをしているが、一流にはなれず
麻薬をやっても解決しないのに手を出してしまい
その快楽に溺れるようになる

そして、刑務所へ入っても、その不安が消えることはなく
さらに、麻薬を常習するようになる

そんな彼を救ったのが
刑務所で出会ったムエタイだった
必死になって練習して、相手を打ち負かした時、ビリーは快感を覚えるようになる

それはビリー自身の内面にある怒りを解き放した瞬間でもあり
麻薬とは違った快楽を感じたのだろう

そこから、彼はドラッグを断つ努力を始めるようになる

これは、ビリー本人が麻薬地獄から抜け出せるようにと祈り続け
やがて、その夜明けにたどり着く
ビリーが人として目覚める話だった

そのビリー自身の成長の話にも感動だったけれど
タイの刑務所の地獄っぷりも、かなり眼を見張るものがあった

映画を観る前に丸山ゴンザレスさんのトークショーがあって
撮影で使われた刑務所のレポを観たのだけど、
なんだろう
刑務所というよりも、家畜小屋っていう印象

人権なんて、まるで感じられない
まさに地獄

こんなところにいるぐらいなら、ラリってた方がマシっていう気持ちは、分かる気がする

それでも、ビリーがそこから何とか這い上がって生還しようと思ったのは
彼の中に生きたいという気持ちが残っていたからに違いない

そのことに、ビリー本人が気づいた時が
ビリーの夜明けの時だった

ごみ溜めのような刑務所の映像には、かなりショッキングな部分もあるけれど
この世のリアルな地獄を観たい人は是非

とえ