劇場公開日 2018年11月2日

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「トランプ帝国は滅亡」華氏119 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5トランプ帝国は滅亡

2019年4月6日
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鑑賞方法:DVD/BD

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『華氏911』でブッシュ政権を痛烈に批判したマイケル・ムーア。
今アメリカでは、ブッシュを下回るほど酷い大統領が君臨している。
言うまでもなく、ドナルド・トランプ。
ムーアがやらない訳がない。
と言う事で登場、トランプ政権を痛烈に批判したドキュメンタリー!

のっけから斬り込む!
2016年の大統領選。
全米では、初の女性大統領誕生なるか!?…に沸く。と言うか、もう当選確実と言っていいくらい。
歴史的瞬間。
…が、雲行きが怪しくなってきた。
そしてまさかの…。
“ドナルド・トランプ大魔王”降臨にかかる『オーメン』の音楽にウケた。

それにしても、自分もヒラリーが当選すると思っていたので、これには驚いたし、落胆した。
所謂世界の“大国”で、女性が未だ国のトップになった事が無いのはアメリカや日本くらい。男女平等を謳いながら、実はまだまだ男尊女卑、考えが遅れている。
トランプはどうも端から印象が悪い。
暴言・迷言・珍言の連続。それを“強い発言”と勘違い。
アメリカとメキシコの国境に壁を作る! イスラム国家をアメリカに入るな!…。人種差別。
劇中でも、黒人は消えろ! メキシコ人はレイプ魔のヤクの売人…と、信じられないドン引き発言。
女性軽視。娘イヴァンカはこの男から産まれたと思えないくらい美人だが、トランプの娘への言動が女性として見てるようで、ドン引きと言うよりもはや反吐が出る。
劇中では描かれていないが、過激な言動は日本に対しても。
俺は日本を愛してると言っときながら、日本は真珠湾攻撃の謝罪をしろ! 日本は米軍基地の維持費を全て負担しろ!…などなどなど。
おいおいおい、戦争を早期終結させる最善の手段で原爆によって犠牲になった大勢の人々、沖縄などで米軍兵士が犯してる事件の事などを知らないとでも言うのか…?
アメリカのトップという事は、世界のトップという事でもある。
そんな立場に居る者が、こんな言動を平然堂々と…。
アメリカ・ファーストなどではない。トランプ・ファーストなのである。

劇中ではトランプ個人への批判だけじゃなく、“トランプ一派”やトランプによって病に犯されたアメリカそのものの闇への警鐘を鳴らしている。
中でもショッキングだったのは、トランプ配下の知事が治める寂れた町の水質汚染。
鉛を含んだ水を飲んでいたという住人や子供たち。
その活気の無い町や人々たちに、我々が抱くアメリカのイメージは無い。
しかもそれを知り、知事は隠蔽。
犯罪以外の何物でもない。
突撃し、知事の広報官にその水を飲ませようとするムーアに天晴れ!
でも、知事の自宅にホースで水を撒くのは痛快だが、一応犯罪ですよ…。

TVでお馴染みの日本の某ジャーナリストによると、そもそもトランプは大統領になる気は無かったという。
大統領選に立候補すれば、それだけで自分や自分の事業のいい話題や宣伝になる。
ところが、当選しちゃったもんだから…。
思わず手に入れた、最高の権力。
そうなると、この最高権力を我が物にし、行使したくなってくる。
アメリカの大統領は、世界の王。
アメリカは、世界は、俺の物。
世界よ、皆よ、俺様の前にひざまずけ。

劇中では、トランプをヒトラーと比較する。
幾ら何でもトランプは、かの人類史上稀代の狂悪人ではない。そう思ってるし、そう信じている。
アメリカ・ファーストを掲げるトランプが、国内の“ガイジン”を収容所に隔離し…なんて事は絶対にしないだろう。
でも、トランプが行った名政策って…?
アメリカ大統領として初めて、北朝鮮のトップとの歴史的会談…?
和平より、自分の名を歴史に残したいからやったとも聞く。
本当にトランプは、“俺様ファースト”しか思い浮かばない。

来年は大統領選。
アメリカ大統領の任期は、短くて4年、長くて2期の8年。
劇中でトランプは、中国の習近平を例に挙げて、倍の16年や終身政権をほのめかす。
面白れぇ、出来るものならやってみろ。
そしたら、世界一の民主国家と主張する国から産まれた最低の国家元首…いや、独裁者を祝ってやる。
まさかこんな品と手腕の無い、相応しくない金の亡者が再選する事は無いだろう。
が、もし再選したら…。
愚かな大統領は、それを選び称える愚かなアメリカそのものなのだ。

レビュータイトルは、トランプ再選ならずを信じて。

近大