「彼らはストリートで全てを学ぶ」キックス とえさんの映画レビュー(感想・評価)
彼らはストリートで全てを学ぶ
これは成長の痛みを感じる青春ものだった
主人公の少年ブランドンは、貯めていたお小遣いで、どうしても欲しかったジョーダンのスニーカーを買う
しかし、買ったばかりのスニーカーは町の不良に奪われてしまう
そこで、ブランドンは友達を連れてスニーカーを取り戻しに行くのだが…
たかがスニーカーの奪い合い
だけど、それがきっかけで、抗争になったり、銃が出てきたり、死者が出てくる話に発展していく
正直、そのすさみっぷりには、マジかよってビビってしまうけれど、それが、アメリカの貧困層の現実なんだなと思った
その中で、主人公のブランドンは少年から大人へと成長していくのだけど、そのためには、様々な痛みを伴うことになる
それが日本人だったら、社会へ出て、責任を負うことを知り、時に失敗しながら、大人へと成長していく
しかし、この映画に登場する少年たちは、それをストリートで学んでいく
奪われたものは、自分の力で奪い返すこととか
自分の身勝手で友達を巻き込んだら、その友達を傷つけられた落とし前は自分でつけるとか
そうして痛みを感じながら、彼らは大人になっていく
それは、まるでヤクザの世界に似ているけれど、彼らが暮らしているコミュニティが、そういう世界なのだ
だから、そんな社会で生き残っていくために、彼らはそうやって、自分の力を見せつけていくしかない
ヘタレの私は、絶対、そんな地域から抜け出したいと思ってしまうけど、彼らはそこ以外に住める場所がないのだ
そこから抜け出すには、バスケ選手や、ラッパーになって成功するしかない
そんな、アメリカのブラックコミュニティの現実を見せつけられた作品だった
追われても、痛めつけられても、這い上がる
そうやって、彼らは大人になっていくのだ