キックスのレビュー・感想・評価
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男らしさって何だ
一見、女の子のような風貌の黒人の少年。それゆえに周囲から男らしくないと見られがちで悔しい思いをしている。だからこそ、かっこいいスニーカーをゲットして周囲を見返してやりたい。アメリカの黒人社会の男らしさに対するプレッシャーは日本よりもはるかに強い。強くなければ舐められる。スニーカーを奪われた少年は取り返し、男を上げてやると決意する。
しかし、そんな男らしさを求める、求められる社会は歪んでいる。殴ったり、物を盗んだりが男らしいのか。マハーシャラ・アリ演じる主人公の叔父の言葉に少年は逡巡する。
『ムーンライト』にも描かれたような、黒人社会のマッチョイズムに対する批判がこの映画にはある。スニーカーを取り戻すことで男として成長するのか、それとも人間として成長するのか。この通過儀礼が意味するのはなんだろう。
男は男らしくなければいけないのか。そもそも男らしさに暴力に必要だろうか。とても現代的な問いかけだ。
【漸く手に入れた”エアジョーダン1”を暴力的にチンピラに取られた少年が、暴力的に取り返す負の成長物語。】
■カリフォルニア、リッチモンド。
15歳の背が小さいカーリーヘアのブランドンは、憧れの”エアジョーダン1”を購入する。それまで、苛められていた彼に、女の子が寄って来るし、仲間のリコとアルバートも一目置く。
だが。町のチンピラ、フラコに暴力的に”エアジョーダン1”を奪われてしまう。
ブランドンはムショに入っていた叔父のマーロン(ナント、マハーシャラ・アリ)の家に行くが、相手にされない。だが、ある部屋で銃を見つけ、彼はフラコの家にリコとアルバートと忍び込み、靴を取り返す。
だが、フラコも小さな息子?と靴を取り返しに来る。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・不思議な映画である。だが、惹かれる。ブランドンの周りには宇宙服を着た男が付いて回る。月面着陸をしたアームストロング船長の様な格好をしている。彼は、何を意味しているのだろうか。
・ブランドンは、序盤はビビりとして描かれ、実際にマーロンからは”ビビりだったもんな”と揶揄われるが、彼はビビることなくフラコの家に銃を持って行き、”エアジョーダン1”を取り返す。
・そして、彼を追って来たフラコに銃を突き付けられながらも、反撃する。彼は銃を捨てるがフラコに反撃され血だらけになる、
だが、フラコはそれ以上手を出さず、小さな息子?には”又、買ってやる。”と告げその場を去る。
<そして、ブランドンは血だらけのまま、取り戻した”エアジョーダン1”とリコとアルバートと共に歩み去る。
ブランドンの声が流れる。”両手には銃、リュックの中にはライフル・・。”
これは、ブランドンがフラコの様に悪の道に進むのだろうか。
とりあえずは、ブランドンがひ弱な少年から男になる様を描いた物語としておこう。>
85ブレッド買えたんで見てみた…って人多そう
前から気になってた映画。
こういうお話なんだろうなって思ってたけどまあその通りの感じだった。
学校内?通学路?かわからんけど人が通る場所でフェ〇させてる生徒がすべてをかっさらっていったw
世界で一番金持ちな国なのに危ないエリアはトコトン危ないっていうのがあのシーン1発で伝わった。
…けど、強烈過ぎてすべてを持ってった感あるwもう感想がそれだけになった
男の子的にとてもアツくなる
黒人社会とヒップホップ
ヒップホップが好きな人に向けて作られた感じがします。リリックが随所に散りばめられ、黒人社会のライフスタイルの描写も多いです。
話としては
主人公が貧しい中、やっとの思いで手に入れたスニーカーをギャングのフラコに取られ、それを取り返す過程でことが大きくなって事件が勃発していく話です。
軸はあくまで主人公なので、
人が死ぬ描写は結構アッサリ過ぎ去ってきます。
自分の中で結構良かったのは最後の場面で、
靴を取り返した主人公に
フラコがやり返しに行く描写で、
最後は主人公が一人で戦うんですが
フラコが息子の前で殺されてもおかしくない状況になっても
主人公は殺しはせず、立ち去ろうとして
結果主人公はフラコにボコボコにされて終わります。
フラコも息子の前で主人公を殺さず
カルマを終わらせて
スニーカーを取らずに立ち去る姿が
筋を通してる感じがして結構好きでした。
(実際はそうは終わらないと思いますが…)
あの宇宙服の存在がイマイチ
わからなかったんですが、視聴2回目で
スニーカーで自信を得たり、
銃、周りの友達や親戚に頼りっぱなしの主人公が、
フラコをスケボーでぶん殴ったら
宇宙服も倒れて消えてったので
主人公が自分のことを自分で尻拭いした事で大人になったこと、
自分ではない別のもので自信を持とうとしていた殻を破ったのを意味したのかなと思ってます。
自身はヒップホップが好きなこともあり、好きな映画の一つです。
彼らはストリートで全てを学ぶ
これは成長の痛みを感じる青春ものだった
主人公の少年ブランドンは、貯めていたお小遣いで、どうしても欲しかったジョーダンのスニーカーを買う
しかし、買ったばかりのスニーカーは町の不良に奪われてしまう
そこで、ブランドンは友達を連れてスニーカーを取り戻しに行くのだが…
たかがスニーカーの奪い合い
だけど、それがきっかけで、抗争になったり、銃が出てきたり、死者が出てくる話に発展していく
正直、そのすさみっぷりには、マジかよってビビってしまうけれど、それが、アメリカの貧困層の現実なんだなと思った
その中で、主人公のブランドンは少年から大人へと成長していくのだけど、そのためには、様々な痛みを伴うことになる
それが日本人だったら、社会へ出て、責任を負うことを知り、時に失敗しながら、大人へと成長していく
しかし、この映画に登場する少年たちは、それをストリートで学んでいく
奪われたものは、自分の力で奪い返すこととか
自分の身勝手で友達を巻き込んだら、その友達を傷つけられた落とし前は自分でつけるとか
そうして痛みを感じながら、彼らは大人になっていく
それは、まるでヤクザの世界に似ているけれど、彼らが暮らしているコミュニティが、そういう世界なのだ
だから、そんな社会で生き残っていくために、彼らはそうやって、自分の力を見せつけていくしかない
ヘタレの私は、絶対、そんな地域から抜け出したいと思ってしまうけど、彼らはそこ以外に住める場所がないのだ
そこから抜け出すには、バスケ選手や、ラッパーになって成功するしかない
そんな、アメリカのブラックコミュニティの現実を見せつけられた作品だった
追われても、痛めつけられても、這い上がる
そうやって、彼らは大人になっていくのだ
ヒリヒリ痛い
新しい靴(エアージョーダン1)を巡って起こる物語。
靴1つで世界が変わって、靴1つで自分自身も変われる。靴1つでそこまでする⁉︎っていう日本では考えられない所は出てくるけれど、新しい靴を手に入れたワクワク感・無敵感は誰しも共感出来るものではないか。
冴えない少年が奪われた靴を取り戻す為に、靴を奪った相手がいる街に住んでいる叔父を訪ねた事で物語は大きく動き、取り戻しが効かない所まで話は進んでいく。それのまあ痛い事痛い事。この後絶対悪い事起こるじゃんと見てるこちらはハラハラし、その期待?に十二分に応えてくれる。
物語中、ずっと出てくる宇宙服は彼の自由へのメタファーで新しい靴っていうのが、自由へ飛び立つ一歩の為の物なのかな?と考察。タイトルのキックスも相手を蹴りあげるっていうのと飛び立つっていうダブルミーニングがあるのではないだろうか?
ラスト、少年が血に染まる姿がエアフォース1の赤と黒のようでなんだかグッときたな。
音楽の使いとか新しさはないけれど、音楽を軸に(毎回タイトル出てくるとことか)しているのは格好良いなと思った。
日米の差
今後に期待
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