キックスのレビュー・感想・評価
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男らしさって何だ
一見、女の子のような風貌の黒人の少年。それゆえに周囲から男らしくないと見られがちで悔しい思いをしている。だからこそ、かっこいいスニーカーをゲットして周囲を見返してやりたい。アメリカの黒人社会の男らしさに対するプレッシャーは日本よりもはるかに強い。強くなければ舐められる。スニーカーを奪われた少年は取り返し、男を上げてやると決意する。
しかし、そんな男らしさを求める、求められる社会は歪んでいる。殴ったり、物を盗んだりが男らしいのか。マハーシャラ・アリ演じる主人公の叔父の言葉に少年は逡巡する。
『ムーンライト』にも描かれたような、黒人社会のマッチョイズムに対する批判がこの映画にはある。スニーカーを取り戻すことで男として成長するのか、それとも人間として成長するのか。この通過儀礼が意味するのはなんだろう。
男は男らしくなければいけないのか。そもそも男らしさに暴力に必要だろうか。とても現代的な問いかけだ。
男の子的にとてもアツくなる
採点3.9
スニーカーを発端とした、これは青春映画でしょう。
米でのエアジョーダンの影響力がものすごいわかるし、日本でも昔ジョーダン狩があったのを思い出します。
それはティーンには生活が一変するほどの出来事で、実際作品では生死がかかる問題にまで発展してました。
しかしそのスニーカーを奪い返す過程で少年の成長と、仲間との絆の深める部分も描かれており、まさに人生の起点となる大事件の瞬間を描いていました。
それを担う宇宙飛行士の演出も良い。
そして少年は男と認められ大人へと変わっていく様が、男の子的にとてもアツくなる作品でした。
黒人社会とヒップホップ
ヒップホップが好きな人に向けて作られた感じがします。リリックが随所に散りばめられ、黒人社会のライフスタイルの描写も多いです。
話としては
主人公が貧しい中、やっとの思いで手に入れたスニーカーをギャングのフラコに取られ、それを取り返す過程でことが大きくなって事件が勃発していく話です。
軸はあくまで主人公なので、
人が死ぬ描写は結構アッサリ過ぎ去ってきます。
自分の中で結構良かったのは最後の場面で、
靴を取り返した主人公に
フラコがやり返しに行く描写で、
最後は主人公が一人で戦うんですが
フラコが息子の前で殺されてもおかしくない状況になっても
主人公は殺しはせず、立ち去ろうとして
結果主人公はフラコにボコボコにされて終わります。
フラコも息子の前で主人公を殺さず
カルマを終わらせて
スニーカーを取らずに立ち去る姿が
筋を通してる感じがして結構好きでした。
(実際はそうは終わらないと思いますが…)
あの宇宙服の存在がイマイチ
わからなかったんですが、視聴2回目で
スニーカーで自信を得たり、
銃、周りの友達や親戚に頼りっぱなしの主人公が、
フラコをスケボーでぶん殴ったら
宇宙服も倒れて消えてったので
主人公が自分のことを自分で尻拭いした事で大人になったこと、
自分ではない別のもので自信を持とうとしていた殻を破ったのを意味したのかなと思ってます。
自身はヒップホップが好きなこともあり、好きな映画の一つです。
彼らはストリートで全てを学ぶ
これは成長の痛みを感じる青春ものだった
主人公の少年ブランドンは、貯めていたお小遣いで、どうしても欲しかったジョーダンのスニーカーを買う
しかし、買ったばかりのスニーカーは町の不良に奪われてしまう
そこで、ブランドンは友達を連れてスニーカーを取り戻しに行くのだが…
たかがスニーカーの奪い合い
だけど、それがきっかけで、抗争になったり、銃が出てきたり、死者が出てくる話に発展していく
正直、そのすさみっぷりには、マジかよってビビってしまうけれど、それが、アメリカの貧困層の現実なんだなと思った
その中で、主人公のブランドンは少年から大人へと成長していくのだけど、そのためには、様々な痛みを伴うことになる
それが日本人だったら、社会へ出て、責任を負うことを知り、時に失敗しながら、大人へと成長していく
しかし、この映画に登場する少年たちは、それをストリートで学んでいく
奪われたものは、自分の力で奪い返すこととか
自分の身勝手で友達を巻き込んだら、その友達を傷つけられた落とし前は自分でつけるとか
そうして痛みを感じながら、彼らは大人になっていく
それは、まるでヤクザの世界に似ているけれど、彼らが暮らしているコミュニティが、そういう世界なのだ
だから、そんな社会で生き残っていくために、彼らはそうやって、自分の力を見せつけていくしかない
ヘタレの私は、絶対、そんな地域から抜け出したいと思ってしまうけど、彼らはそこ以外に住める場所がないのだ
そこから抜け出すには、バスケ選手や、ラッパーになって成功するしかない
そんな、アメリカのブラックコミュニティの現実を見せつけられた作品だった
追われても、痛めつけられても、這い上がる
そうやって、彼らは大人になっていくのだ
ヒリヒリ痛い
新しい靴(エアージョーダン1)を巡って起こる物語。
靴1つで世界が変わって、靴1つで自分自身も変われる。靴1つでそこまでする⁉︎っていう日本では考えられない所は出てくるけれど、新しい靴を手に入れたワクワク感・無敵感は誰しも共感出来るものではないか。
冴えない少年が奪われた靴を取り戻す為に、靴を奪った相手がいる街に住んでいる叔父を訪ねた事で物語は大きく動き、取り戻しが効かない所まで話は進んでいく。それのまあ痛い事痛い事。この後絶対悪い事起こるじゃんと見てるこちらはハラハラし、その期待?に十二分に応えてくれる。
物語中、ずっと出てくる宇宙服は彼の自由へのメタファーで新しい靴っていうのが、自由へ飛び立つ一歩の為の物なのかな?と考察。タイトルのキックスも相手を蹴りあげるっていうのと飛び立つっていうダブルミーニングがあるのではないだろうか?
ラスト、少年が血に染まる姿がエアフォース1の赤と黒のようでなんだかグッときたな。
音楽の使いとか新しさはないけれど、音楽を軸に(毎回タイトル出てくるとことか)しているのは格好良いなと思った。
日米の差
半殺しの目に遭って『男になったな』って、すごい世界だ、そんなの日本じゃ任侠ものくらいだ、アメリカで男になるのは大変だ
しかもかなり人命かかわる場面でも友情に厚いあたり、そんなに非日常ではなさそうに仕上がっている
日本人だから現実感薄いのかな、と思うが、宇宙服は非日常を表しているのかな…
ただ銃や人殺しはともかく、素手で人を殴ると自分も痛い、とかは子供時代に体験すべきだし、そういう喧嘩にはルールがあるということも併せて知るとよいと思うので、終わり方は納得いくものだった
今後に期待
スラムの町並みや住人たちのただれた生活にはリアリティを感じましたし、友人二人のキャラクターもよかったので、退屈せずに観れました。
内容としては、酒、タバコ、麻薬、女、暴力といったものがうずまく町で、まともに生きる、自分を守ることがいかに難しいかを思い知らされます。
あまり、目新しさや、意外な展開はないように感じましたが、監督にとってこれがはじめての長編作ということを考えると、今後には充分期待できる出来だったかと思います。
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