「引くも地獄、進むも地獄であるならば…」峠　最後のサムライ　talkieさんの映画レビュー（感想・評価）

期して着々と武装（新式機関砲）は進めてきたとはいえ、戦況から言っても、西軍（官軍）は勝てる相手ではない。さりとて、屈服すれば、かつての盟友であった会津藩を攻めるための先兵として西軍に利用されることは目に見えている―。後ろへ引くも地獄であり、前へ進むも地獄であるとすれば、前へ進むことが武士としての本懐ということだろう。
「武士道とは、死ぬこととみつけたり」とは、このことか。
その潔さが、痛いほどに胸に迫る一本でした。評論子には。

＜映画のことば＞
今このご時勢のなか、日本男子たる者がことごとく薩摩・長州の勝利者におもねり、争って新時代の側につき。武士（サムライ）の道を忘れ、行うべきことを行わなかったら、後の世はどうなる。
長岡藩すべての藩士が死んでも、人の世というものは続いていく。
後の世の人間に対し武士（サムライ）とはどういうものかを知らしめるためにも、この戦いは、意義がある。