「夕陽に向かう一羽のカラス」峠 最後のサムライ 猿田猿太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
夕陽に向かう一羽のカラス
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上映開始早々、緊迫の大政奉還のシーンが9分弱。これは「坐して聞け」という解釈で良いのでしょうか。映画ですが「見ろ」ではなく「聞け」と。
黒澤映画の血統とするならば、「乱」以来の戦の映画ということになりますか。「乱」のリアルな戦国の映像に大いに白熱しましたが、もはや武士が終焉する時代、戦場には銃声ばかりが鳴り響くのですね。そこは河井継之助、思い切りの良い奇襲作戦で、抜き身で敵に挑んでいく姿は、正しく最後のサムライの姿。
そんな壮絶な映像を見せつつも、カタルシスの強い映画だったと思います。気を引き締めておかなければ一語一句を聞き逃してしまいそう。冒頭の大政奉還は情勢の説明では無く、如何なる映画であるのかを説く、そのための緊迫感だったのか。
戦場の緊張も平和な日常があればこそ。松たか子さんが演ずる、おすがさんがとても良かった。デコピンされて芸者遊びにつれていかれ、盆踊りを踊らされるときの苦笑いw
それにしても、前半で語るカラスの話は素晴らしい布石だと思いました。どんな壮絶な最期かと思いきや、夕陽に向かって飛ぶカラスが、それを暗喩した表現であったのか、と。
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