「SS45381⇄SS45326 落ち無いシミ」オペレーション・フィナーレ コバヤシマルさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0SS45381⇄SS45326 落ち無いシミ

2022年8月17日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

難しい

幸せ

内容は、WW2のナチスドイツ政権下で行われた大量虐殺ホロコーストの責任者でもあるアドルフ・アイヒマンを逃亡先特定後に生捕りにするべく立ち向かうモサドの人々(ユダヤ人グループ)とこれを裁こうとするイスラエル🇮🇱国家の話。好きな言葉は『署名は検討する前に、名前だけでも教えてくれ』丁度ミッドポイントに当たる拉致監禁されている時のアイヒマンを手厚く保護している主人公ピーターに対して感謝の意を込めて聞いた言葉。『私には戦争は数字だ、只祖国ドイツに尽くしただけだ』とのアイヒマンの言葉でアバンタイトル終わる辺りは、ゾッとした恐ろしさがありました。ハンナアーレントの全体主義的考えを踏まえる様な考えで『悪の凡庸性』を通説に感じます。好きな場面は、イスラエル🇮🇱に裁判所て裁かれるアイヒマンが傍聴席にいるピーターと奥さんを眺める片方の口角を上げる仕草は、2人の関係を祝う様に見え自分が得られなかった幸せと未来を思い描いた心の絆が感じられ、決して許された好意ではありませんが言葉ない会話が切なくなりました。物語は、終始ピーターとアイヒマンの尋問官と被告人ではなく、友情にも似た人間関係を描いています。南米ブエノスアイレスに残るナチス残党の力も根強くそれには驚きました。一つ間違えば『ジークハイル!』で全員殺されていたかも知れません。スパイとしての仕事の難しさが独善的では無いのか?善悪の境界線を人が持ってもいいのか?冤罪の可能性のあるのに?私情を捨てて正気を保てるのか?そんなテーマが重くのしかかってくるが上手にまとめているなあと感じました。最初は、フルマとピーターの関係から始まり家族で終わる。家族のつながりがテーマの一つの様に感じます。名前・正気・殺意・水素爆弾・剃刀・煙草・生捕り・真実と事実・シミ・家族・友情・裁判・沈黙笑・数字・色々な事象が噛み合い時代性と相まって非常に複雑な思いに駆られました。それぞれの心象と心の機微が痛いほど伝わり暗いですが面白い作品。そうっ!刑務官とシリアルキラーの友情の実話映画が思い出されました。戦争や犯罪は恐怖だ。でも、人が人を裁く事への矛盾が、人間と言う生き物の多面的一面なのかもしれないなと考えたら複雑です。

コバヤシマル