「主人公の人生は…」アンシンカブル 襲来 MASERATIさんの映画レビュー(感想・評価)
主人公の人生は…
正体不明の敵に襲われたスウェーデンを舞台に、主人公の青年と、その家族らの逃避行を描いたSFサバイバル。
敵の正体はエイリアン?テロリスト?
他国?などと想像していたが、明確には描かれない。実際、エイリアンなどSF的発想ではないが、インフラに打撃を与えられて機能しなくなった国で人々がどう動くのかに重きをおいているため、敵の詳しい情報は必要ないと考えたのだろう。
本作は、意外にも考えさせられる作品だった。主人公は過去に両親の不仲をきっかけに辛い思いをしている。恋人が唯一の心の支えだったが、それも家族のトラブルで嫌な別れかたをしている。現在はミュージシャンとして活躍していた主人公だが、仕事中に謎の攻撃を受けたという知らせが入るのである。
ネットや電話が使えないという状況下の中、避難する人々が描かれるが、そこのドラマ部分が中々感慨深いものだった。
気難しい、横暴な父に嫌気をさして家出をしたものの、主人公、アレックス自身も身勝手な男になっていたり、
「あのときこうしていれば、どんな人生だったろうか。」「あのときああしなければ、どんな人生だったのか。」という思いの中で、様々な人々の生き様が描かれる。
そんな中で刻一刻と迫り来る危機が淡々と描かれ、そのコントラストとも言える描写に夢中になれる作品だった。
パッケージをみるとSFアクションという感じだが、恐怖描写や戦闘シーンよりも、人々の感情を全面に出したような作品だ。スウェーデンという国だからこそこういう作品を生むことができたのだろうか。
少し普通の映画とは違う体験をしたいのなら、オススメできる作品だ。
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