赤い雪 Red Snowのレビュー・感想・評価
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絶望しかないのに、何故か美しい?
救いがないです。
何かを欠いた人間と、下衆で鬼畜な人間と。真実を、記憶をめぐる
追いかけっこ。
暗い色合いの中で絶望に突き進むその容赦のなさが辛くて痛々しくて。
。。。どうにもならない絶望しかないのに、何故か美しい?
どうしようもない人間の汚さ狡さ醜さをこれでもかと描いているにもかかわらず、「怒れ」「進め」と強く背中をたたくような、人間への賛歌のようにも感じられて。とても不思議な気持ちになりました。
残念な結末?
犯罪被害者の権利、さらには犯罪者の家族の立場とか、色んな視点や議論があるのは解るけど、これだけのキャストを揃えて、どうしたかったんだろう?
よく解らないけど、いくら何でも、あんな杜撰な捜査はしないだろうし、いまいち説得がない内容でした。
期待したんだけど、すごく残念な後味でした。
あまりにもショックだと人間はその前後の記憶を思い出せないと言う……...
あまりにもショックだと人間はその前後の記憶を思い出せないと言う……
何となく途中から予測してましたが…
でもこういうテレビドラマ的なの嫌いじゃないかも
今の世の中、まだ実際にこういう家庭?家族居ると思う
DVと言うか虐待と言うか育児放棄みたいな…
そして親の依怙贔屓など…
映画の感想とは?
鑑賞直後は、昭和の雰囲気が漂う、重苦しく陰湿な表現手法としかしキチンと裏打ちされた俳優陣の堅実な演技、陰々滅々な様を現わす劇伴と舞台設定、そして記憶という曖昧模糊なものに振り回される人間の滑稽さを表現されている良作であると感じた。しかし、何日か経ち、そもそものストーリーの不自然さ、所々みえるぽっかりと抜け落ちている穴を感じてしまい、もしかしたら、この鑑賞の記憶でさえ、曖昧なものだということ自体、メタファーとなって観客に訴えているのではないかと思い始めてしまった。
それほど、今作品の観た人の想像力に委ねる、いわゆる読解力が試される作品は、増加傾向であり一つの方法論にまで成っているかも知れない。下手をすると置いてけぼりにされてしまい、求めるところのカタルシスは得にくい内容に、それなりの賛否が問われる現実がある。原作をチョイスするのか、オリジナルを産み出すのかも含めて、良くも悪くも監督の“作家性”と、観客の感覚にシンクロニシティが生まれればこんな幸せなことはない。しかしその殆どは虚しく別ベクトルを向いてしまうのがオチなのだが・・・
そう思ったが、だからといって合わないから、作品を陥れることとは別問題である。否定をすることに躊躇することなく感情の赴くままに吐露する輩に、読解力の無さを恥じることから始めるべきではなかろうか・・・。それは自分も自戒の意味を込めての発言である。
被害者の兄と加害者の娘の末路
数多くの著名人の感動のコメントに誘惑されたわけでもない。
寒い海があるさびれた村で、満面真っ白い雪景色の美しさに感動した方々も少なくはないだろう。画面に、2つ点が見え、二人の人間が走っているのを後方から追いかけているのが鮮明となる。この作品は、そうして始まるのだが、兄が弟を追いかけているのだが、なかなか追いつかない。弟が赤い点のように見えていたが、赤い色の服を着ていたか?
話しが進んでいくうち、弟が自宅で誰かの電話を取り、一目散に出ていく。母親は、誰からの電話か知っているかのように、兄に弟を追うように命じる。誰からの電話だったのだろうか?いつの間にか弟を見失う兄。失踪した弟の「記憶」は、いかに曖昧なものか。
30年前、弟を見失い過去を彷徨う一希。30年前の過去を知り、母のDVに耐え、押し入れから外を凝視する毎日。発達障害であり、自宅で幽閉され続けた、不気味な笑いを続ける小百合。そんな二人が雪原で出くわし、純白の白い雪原で、菜葉菜と永瀬が争う。思わず、女は呻き死に至る描写が光る。
曖昧な記憶を抱える兄 一希。彼は、記憶の中で朧げな弟の影を覗いた江藤の家の中に見ることになる。兄は、漆器の漆塗りに没頭する。またも弟の「記憶」に苦しめられる状態に陥るのである。不幸を背負う者たちの描写がやるせない。
絶望しかなくても生きてゆく
ひとりの人間の存在は時として非常に小さく、時としてとても大きい。宇宙の時空間から考えれば、人間の存在は一瞬で消えた塵のひとつにすぎないが、日常生活の尺度で言えば、ひとりの人間が周囲に及ぼす影響は意外に大きい。複数の人間が集っているところに暴力団の組員みたいな大男が来たら、たちまち場の雰囲気は凍りつく。大人でもそうなのだから、小さな子供にとって、周囲の人間が与える影響は計り知れない。ましてそれが親ともなると、子供の生殺与奪を左右する力を持っている訳で、そして子供はそのことを知っている。
ある親が人格破綻者で子供をスポイルする人間だったりすると、その子供は最悪の場合、殺されてしまう。生き延びたとしても、親から愛情を与えられていなければ、愛情というものに無縁の人格になってしまう。愛のない人間に育てられたら、愛のない人間になってしまうのだ。同じことは暴力に対する禁忌についても言える。暴力がタブーであることを教えないと、暴力に歯止めがきかない人間になる。殴られて育った子供は人を殴る人間になるのだ。自分がされたら嫌なことを相手にしないという基本的なルールさえ、破ることに余念のない人間になってしまう。
本作品はそういった、どうにもならない不条理がテーマである。永瀬正敏が演じる主人公の一希は子供の頃に弟を殺された経験を持つ。容疑者は夏川結衣演じる人格破綻者の女だが、物的証拠がなく、ずっと黙秘したので無罪になってしまう。そのことが主人公にどんな影響を与えたのか。その後主人公はどんな人生を歩んだのか。
一希よりももっと悲惨なのがもうひとりの主人公、菜葉菜が演じる早百合である。早百合は人格破綻者の母親のせいで幼い頃に心を破壊されてしまった。人格破綻者の貧しい親からは聖人は生まれない。クズがクズを育てて、周囲の人々を不幸に巻き込んでいくのだ。
主演の菜葉菜は、これまではエキセントリックな脇役が多かったが、本作品では愛情も良心も破壊されて心に穴が空いた、不幸で悲惨で酷薄な女を演じ切った。虚ろなその眼は、戦場で死の恐怖から逃れるために心を無にする兵士のように不気味で恐ろしい。ベテランの永瀬正敏や井浦新を相手に、一歩も引かない見事な演技だった。
世の中は不条理だ。生きていくこと自体が理に合わない。世の中には本当は絶望しかないのかもしれない。それでも人間は生きていく。繰り返される不条理は人間が絶滅するまで続くのだ。やるせないが、ここまで明らかにされると、ある意味爽快である。鑑賞後は明るい気持ちにはなれないが、決して不快な気分ではない。人間は泥まみれにのたうち回って生きていくと思えば、逆に気が軽くなるものなのだ。
人の気持ち悪さの描き方がうまい
少年失踪事件の被害者の兄と加害者の娘を巡るサスペンス。
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どうしても弟の死の真相を知りたい主人公は何度も加害者の娘に問い詰めるけど、娘はひたすら逃げる。これを見ながらこれもしかしたら、3度目の殺人のように真実なんてない映画なんじゃと不安になる。
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でもちゃんとこの映画は真相あるから安心してください(笑)映画をたくさん見てる私にとってはそこまで意外な真実ではないけど、答えを用意してくれることは嬉しい(笑).
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この映画は、佐藤浩市と夏川結衣がすごく良かった。主演の2人もこういう暗い雰囲気にピッタリだった。
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才能の無い人間が韓国映画に影響受けたらこうなった
邦画の闇が詰め込まれてる
ホラーとしか思えない。
序盤の尾行シーン
自転車を車でしかも、夜、ライトを点けながらの
尾行、こんなこと有り得ません。
雑過ぎ
このシーン1つで
この映画駄目だなと確信した。
その後は、予想通り
泣き叫び
脈略もなく
突如
突飛しもない展開の連続
リアリティのない家
リアリティのない設定
ついさっきまで
自転車に乗ってたのに
突如、遭難したら確実に死ぬレベルの
山深い山中にいる、一体どうやってそこまで行ったのか?誰か教えてください
又、その山深い山で突如、寝落ち?
そこから
殺人未遂犯したことには
心底驚いた、しかもあそこから
失禁までさせた人間を殺さず、1人でどうやって
ベッドまで移動させたのだろうか?
謝って済むレベルか?
全てがホラー
又、監督の思い込みか
知らないが
通常なら自転車に乗っている場面で
何故か不自然に自転車を押して歩いてる
話しかけるシーンが必要なら
他の演出が有ったのでは?
いっそのこと自転車を省けばいいと
思うのだか、車も持てない
貧困の田舎者は自転車だ!と決めつけんばかりの
見え見えの演出
全てのディテール設定が甘過ぎ
それが雑音となる
イ・チャンドン監督の
バーニング
鑑賞翌日に、この映画はキツかった。
不穏、とにかく不穏
映画全編を通して不穏さが漂う。
映画のテンポも不穏さを助長すべくものすごいスローテンポ。
映像、音楽、すべて不気味。
その不気味さがリアリティを増し、まるで自分も映画の中に入り込んだような錯覚を起こす。
とにかくあのラストは邦画とは思えぬ素晴らしい出来栄えで、ラストだけで5億点。
解説サイト見ないと全ては理解出来ず
サスペンスです。
エンディングに向けて、何が事実なのか色々と予想しながら楽しめますが、終わりがハッキリしないので、見ている人は???で終わるかもしれません。
私も、重大な秘密には気が付きましたが、細部は???のまま。解説サイトで確認しないと分からなかったです。
そういう意味で、とても分かりにくい作品で、よく分からない、と片付ければ評価も低いまま。
解説サイトを読んで初めて、なるほどと納得して、理不尽さやもどかしさ、人間の欲望や嫉妬など、奥深い話だと思いました。
が、解説サイト見ないと分からないのであれば、作品としてどうなのなあと。
映像はし良い雪と赤色のコントラストが印象的で、全体的にとても重苦しく不気味な印象です。
後で知ったのですが、この話、実話ベースらしいです。そう考えると、不気味さに輪がかかる。
心を守る記憶喪失
真実はひとつ
ぼくは母親に愛されてなかった
ぼくを気にかけてくれた人も弟を選んだ
ぼくは弟が憎くて嘘をついた
この記憶がよみがえったとき
傷つきながらも前へ
母親に愛されなかった2人は....
色んなとらえ方がある映画。
役者が良かった。なりきり感が凄い。
何故時計が?ボートは?風呂のあれは自殺?とわからないところがあったものの、すべての布石を拾う必要ないしね。
そもそもメインのストーリーも各自によってとらえ方が変わるんだろうね。難しい映画だけど、よい。
誰一人として幸せと縁のない人生
幼い頃に人生を狂われた男、母親に愛されずに過ごしてきた女、欲深きろくでなし、そして素性を偽って・・。少年失踪事件に端を発した数人の人生がここで絡み合い、もつれあい、落ちていく。救いようがないね。
真実はひとつ。しかし、人の記憶はあいまいなもの。そして抜け落ちるものなのだな。その割には鮮明に覚えている少女時代の記憶。そこがちょっと違和感あり。
朱色の意味するもの
春など想像すらできない冬の曇天と、閉ざされた空間。
決して知られてはならない秘密。
繰り返される狂気。
重苦しさを閉じ込めた島は、人を救いようのない運命に導くのか。
きっと漆の朱色は人の血の色だ。
血は脈々と流れ続ける人間の本性だ。
外に場所を変えても、朱色が心を島に縛り付けたままにする。
どんな人でも狂気を心の奥底に隠して生きているのではないのか。
何が運命を狂わせるのか。
場所なのか。
逃れることが出来ない人間の本性なのか。
もし、たとえ、それが場所であれ、人々の心の奥底に潜む本性であれ、僕たちは絶望から逃れることは出来ない…のかもしれない。
映画は、核心部分を観る側のイマジネーションに委ねているように思う。
そして、絶望から助けを求めているようにさえ思える。
何の救いもない圧倒的な悲劇
暗く重い感動があった。出口がまったく見えない閉塞感に息が詰まった。悲劇しかなかった。
幼い頃、雪が降る日に弟を追い見失った兄(永瀬正敏)。弟はそのまま失踪し帰ることはなかった。事件から30年経った今も弟を見失う夢を見続ける兄。
容疑者(夏川結衣)の娘(菜葉菜)は母親から暴力を受けており、学校にも行かず大半を押入れで過ごした。
今もなお30年前の失踪事件を追い続ける事件記者(井浦新)の導きにより「失踪した弟の兄」と「容疑者の娘」が出会うことになるが……
大きな罪の意識を背負い、幸せの反対側でもがき苦しむ二人。これは悲劇の傑作だ。今年の邦画のベストの一本だろう。
とにかく何の希望もない菜葉菜の佇まいが強烈過ぎる。彼女の悲劇を際立たせた夏川結衣と内縁の夫を演じた佐藤浩市の人間をやめてしまったような演技も秀逸だった。
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