「何の救いもない圧倒的な悲劇」赤い雪 Red Snow エロくそチキンさんの映画レビュー(感想・評価)
何の救いもない圧倒的な悲劇
暗く重い感動があった。出口がまったく見えない閉塞感に息が詰まった。悲劇しかなかった。
幼い頃、雪が降る日に弟を追い見失った兄(永瀬正敏)。弟はそのまま失踪し帰ることはなかった。事件から30年経った今も弟を見失う夢を見続ける兄。
容疑者(夏川結衣)の娘(菜葉菜)は母親から暴力を受けており、学校にも行かず大半を押入れで過ごした。
今もなお30年前の失踪事件を追い続ける事件記者(井浦新)の導きにより「失踪した弟の兄」と「容疑者の娘」が出会うことになるが……
大きな罪の意識を背負い、幸せの反対側でもがき苦しむ二人。これは悲劇の傑作だ。今年の邦画のベストの一本だろう。
とにかく何の希望もない菜葉菜の佇まいが強烈過ぎる。彼女の悲劇を際立たせた夏川結衣と内縁の夫を演じた佐藤浩市の人間をやめてしまったような演技も秀逸だった。
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