「ちゃんと情報を拾えれば面白い」A-X-L アクセル kisaragiさんの映画レビュー(感想・評価)
ちゃんと情報を拾えれば面白い
個人的にはじゅうぶん面白かった。
妙に評価低いレビューが多いが、観る側もある程度映画慣れしてないと解らない部分が多いのかもしれないね。
アクセルは非常に可愛いし健気だ。主人公と出会ってすぐ、「ただのわんこじゃねぇか」って笑わせてくれるし。導入部分で露骨に軍用兵器ですってアピールをしているし、見た目もごっついからこそ、挙動(思考)がわんこなのがギャップで面白いわけだ。これが最初から可愛らしいいかにもペットな外見していたら何の笑いも生まない。あれ、かわいいぞ、って思わせて視聴者に愛着を持って欲しいのだろう。
成長前のまだ白紙に近いような状態であることも、「仔犬なんだ」って表現だったり、「5年分の研究が一気に進んだ」などの表現(つまり実用化にはAI部分だけでも本来まだ5年以上の研究が必要な試作も試作、ほんとコンセプト段階だってことがきちんと示唆されてる)などからちゃんと説明がされている。
その辺をちゃんと読み取れていれば、だからこそバイクメカニック程度の主人公が手作業でなんとか修理できるような構造だったり(アクセル自身もどこを直して欲しいかちゃんと教えてくれてるし。主人公が機械にある程度強い設定なのも活きてくる)、火炎放射器程度で壊れちゃったり(装甲なんかまだロクについてないってこと)するのも理解できる。SFの超科学ロボではなく現代寄り……ギリ近未来技術程度の話なのだ。
ガソリン駆動だったりするが、おそらくEV車等の技術もまだまだ大したことない状態で、あれだけの質量を大パワーで動かすバッテリーがまだ存在してないんだろうね。ジェット加速にも流用していたりするし。人とタッグで運用する前提なのもあって、軍用車両等に使うガソリンをそのまま燃料として使える前提で考えればむしろ効率いいのかもしれないし。実戦ならガソリンの補給車両とか当然必ず居るだろうし。
あとはひたすら健気で、「対象を信頼」って出たのをしっかり気がついているかどうかも大きいと思う。思考がわんこな前提で、主人公を「信頼」している。パートナー設定する前の話である。アアクセル自身が、「あ、この人はいい人だ」って思っているのだ。これは何か特別な感情らしく、他の人物に対しては「仲間」とかそういう表現しかしない。信頼と出るのは主人公だけなのである。後に正式にパートナー設定することになるが、その前から既に主人公を「ぼくのご主人」と思っているのだ。なんて良い子。
そして、終盤はひたすら「ご主人を守る」だけを唯一絶対の思考として頑張るのだ。
一部の演出を除いて基本的にアクセルは喋らないが、「守る」の表示が出ている=離れるのやだ、って駄々こねてるって意思表示でもあるんだと思う。そう言う所も気づいてあげてほしい(観る側が)。
兵器として開発中だったものが、まだ子犬の状態で主人公と出会ったことで、人間の良きパートナーとしての「わんこ」として頑張るお話なのである。
あとの細かい所はいわゆる「芝居の嘘」ってやつで、なんでもかんでも全部が辻褄合ってないといけないみたいな人はノンフィクションのドキュメンタリーでも観るべきで、これは架空のファンタジー映画なんだから、「映画なんていつもこうだぜ」ぐらいの軽い気持ちで観てほしい。
軍用超兵器ロボ犬がSFチックな大活躍する映画「ではない」のだ。あくまで試作品のメカわんこが良いご主人を見つけて頑張るお話。