「限りなく重たい。しかし、観てほしい。」楽園(2019) CBさんの映画レビュー(感想・評価)
限りなく重たい。しかし、観てほしい。
さて、本作、明るさや希望はまったくないと、他のレビューで予想して観に行った。そして、予想通り、たいへん重たい。
春夏秋冬、四季それぞれの美しい景色のカットを丁寧に撮りながら、その間に描かれる村の人間模様は、この上なく醜悪な村八分の世界と、そこから陥る悲劇的な二つの結末。
杉崎さん、村上さんと当代きっての若手実力派俳優に、綾野さん、佐藤さん、柄本さんと揃った日には、俳優的には何でもやれる、もう瀬々監督の腕次第ってなわけですが、この映画のすごいところは、二つの結末自体は、さほど話題にならないだろうと思われること。
そこへ至る過程が、いかに理不尽で、しかし誰もが陥りそうな状況から生まれたことか。さらに、限界集落であればたやすく発生するだろうと思える。さらには、先に述べた景色との対比で、日頃から「田舎の景色は素晴らしい」と言っているこちら側の観客に、「そこに住む、そこを維持することを考えたことがありますか?」と投げかけているような厳しさを感じる。
少なくとも俺は、考えたことがありません。知っていても、うまくいけばいいな、と期待しているだけです。
そんなわけで、たいへん疲れ、それ以上に充実した映画だった。
最後にわずかな光は示されらので、みんなに観る機会があるといいな、と思う。
TOHO川崎で観た。本作とは関係ないが、TOHOは、ブランケット有料にしたんだね。衝撃だった。殿様商売なのか、それとも思っている以上に経営は綱渡りなのか? 映画館が、ずっと続くといいな。
未だに昔の風習や限界集落などありますからね。
見終わった後調べたんですが、2013年に広島県の限界集落で起きた凄惨な殺人事件と酷似してるんですよね。おそらくモチーフでしょうが。
自分もニュースで見て衝撃を受けて、今も記憶に残ってます。
コメント、ありがとうございました。他のレビュワーの人とも少し話したんですが、この映画って、僕達の曖昧な客観性も揺さぶってる気がするんです。後半の豪士の回想で、実は豪士、やっぱりやってたんだとか、野上はストーキングするぞとか、実はなんの証拠もないのに、思い込みで観る側も、この映画のなかの人間と同じにしてしまう。考えた演出だと思いました。
コメント失礼します。
TOHOは殿様です。
値上げするし割引も少ない。有料会員でも割引無いし。
料金上げつつサービス悪くなるってすごいですよね。考えられません。
できるだけTOHOには行きたくないですね。「この作品TOHOしかやってないのか〜」と思ってしまいますよね。