「評価の難しい作品」楽園(2019) 終電車さんの映画レビュー(感想・評価)
評価の難しい作品
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現実に起きた事件をモチーフにした短編小説集が原作とのことですが、全く関連性の無い二つの事件が同じ集落で起きたものとして2時間ちょっとの映画の枠で描こうとして焦点がぼやけてしまった印象。
敢えてそうしてるのかも知れないけど、杉咲花さんと村上虹郎さんの作品全体での立ち位置もはっきりしない。
それと、濡れ場のシーンは必然性は無いかなと感じました。佐藤浩市さんに片岡礼子さんを当てた時点で多少の色恋事は有るのかなと思いながら見ていましたが、まさかの混浴、しかもフルヌードとは・・・
制作側の意図としては村八分の疎外感を決定的にした出来事として描いたのでしょうけど、
それならば、善次郎の抱く絶望感が大量殺人を犯すほどの憎悪に転じる村人との間のエピソードをもう一つくらい織り交ぜた方が良かったのでは、と思いました。(飼い犬の自宅軟禁だけでは動機づけとしては弱いのでは?)
穿った見方かも知れませんが、題材が重く、作品自体が地味で抑揚のない展開にならざるを得ないので、刺激的なエッセンスを盛り込むために安易な方法に走ったのかなと。
そして、追加キャストである片岡礼子さんは佐藤浩市さんと年齢的に釣り合いが取れて脱ぐ事を厭わない女優さんとしてキャスティングされただけなのでは、などと余計な事を考えてしまいました。(片岡さん、ごめんなさい。目の保養にはなりました)
ただ、犯人探しのサスペンスなのか人間ドラマなのか、見る側の想像力を試す作品を作り手側が指向したのだとすれば、なかなかの佳作だと思います。
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