「「楽園」て結局何のことなの?」楽園(2019) ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)
「楽園」て結局何のことなの?
「楽園」というタイトルとは正反対の、陰鬱で凄惨な印象の作品だ。誰かを悪者にして、犠牲にしないと存続できない人間社会の本質を描いていると言えよう。人類が社会を作って生活し始めてからそんな話にあふれている。最近の問題では「いじめ」も根っこは一緒だ。少し集団から外れた人を悪者にして、自分が正しい側にいると思いたいだけだ。そんな人間の罪業と犯罪事件を絡めて凝縮した内容のサスペンスに仕立てている。社会から疎外されたり迫害されたりする人の悲しい心情も分かるが、「魔女狩り」みたいなことをする人たちの気持ちも理解できるだけに、見終わってもすっきりしない印象が残る。
難しいテーマなだけに、映像だけでは伝わりにくいものがあったと思う。「楽園」というタイトルもそうだ。意気込みが空回りして「頭でっかち」になっていないか。途中でいろいろ考えることはあっても、最初から最後まで映像に引き込まれることがなかった。話の展開をもっとシンプルにしたほうが良かったと思う。
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