劇場公開日 2019年10月18日

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「ミステリーの皮を被った人間ドラマ」楽園(2019) おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ミステリーの皮を被った人間ドラマ

2019年10月20日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

難しい

予告編やCMからてっきりミステリーだと思って鑑賞したのですが、そうではありませんでした。鑑賞後に感じたものを率直に言えば、この作品をどう受け取ればよいのかという疑問と、鬱になりそうな重い気分です。

三章立てで構成され、それぞれスポットの当たる人物は違えど、そこで描かれるものは一貫しています。それは、田舎の息苦しいまでの閉塞感や、限界集落の閉鎖的で排他的な人間関係で、全編にわたって重苦しい空気が漂います。観客はまるで自分自身がそこの住人にでもなったかのようで、どんどん鬱屈した気持ちにさせられます。この強く押し寄せる、逆らい難い空気感は、田舎暮らしの経験がある人なら絶対に共感できると思います。

そんな中で暮らす人々が、必死でもがく姿が、本当に切なかったです。常に怯えるように生活している豪士、地元のために行動しても村八分にされる善次郎、自分だけが生き残ったことを責められる紡が、周囲の空気からほんの少し浮いた瞬間に、なす術なく居場所を奪われてしまいます。その姿に胸が締めつけられるようでした。これは、田舎や限界集落だけのことではなく、集団生活が営まれる場なら、いつでもどこでも誰にでも起こりうることで、少なからず恐怖を覚えました。

そんな主要人物を、綾野剛さん、佐藤浩市さん、杉咲花さんが熱演しています。脇を固める、柄本明さん、片岡礼子さんらも安定の演技で一切隙はなく、重厚な作品に仕上がっています。

しかし、いかんせんストーリーが今ひとつおもしろくなかったです。ミステリーの皮を被った人間ドラマなのはいいですが、それならそれでもう少しわかりやく描いてほしかったところです。欲を言えば、事件の真相だけはきちんと描いてほしかったですが、そうすると作品が訴えたいテーマが薄まるような気もするので、落とし所としてはこんな感じになるのも仕方ないのかもしれません。

おじゃる
おじゃるさんのコメント
2019年10月23日

コメントありがとうございます。レビューを投稿しておられないようなので、こちらに返信します。
鑑賞後のモヤモヤ感、わかります。職場の同僚と一緒に鑑賞したのですが、席を立ってしばらくの間は頭の中の整理ができず、お互いに感想を口にすることができませんでした〜。

おじゃる
みるきぃ。さんのコメント
2019年10月22日

モヤモヤした感じで見終わり、しんどいです💦

みるきぃ。
みるきぃ。さんのコメント
2019年10月22日

同感です

みるきぃ。