劇場公開日 2019年8月24日

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「戦後変わったことは「返還された」だけなのかもしれない」米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯 バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0戦後変わったことは「返還された」だけなのかもしれない

2021年3月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

大変お恥ずかしいですが、僕は瀬長さんのことは存じ上げませんでした。
本作で知ることとなりました。島田さんを描いた映画の流れで鑑賞です。

一昨年から映画鑑賞の機会を増やすようになり、戦中の沖縄に関するドキュメンタリー作品もいくつか鑑賞してきました。本作もその一環で。
沖縄に関する作品を観るごとに、日本の中で沖縄並びに沖縄県民の方々しか味わっていない、「本土決戦」=「住んでいるところが戦場になる」・・・この過去が一体何の教訓になり、日本は如何に
それを生かしているのだろうか?と生かしていくにはどうすれば良いか?をしっかり考えなければ・・と再認識です。そして、いつも思いますが、僕は戦時、戦後の沖縄、並びに日本の歴史にどれだけ無知なんだろうか?と愕然といたします。

本作は瀬長さんの不屈の生涯を膨大な日記の情報をベースに描いていきます。
先人が残した意思と悲しい遺産を風化させないため、その経験を生かし沖縄の方々に同じ思いをさせないための活動を追っています。
なぜ基地を反対するのか?それは再び戦場になる恐れがあるから。
その意思、信念の強さは当時の佐藤首相に熱弁をふるう姿にあらわれています。
もしかしたら過激思想、バランス感覚を無視しているとも見えるかもしれませんが、命を守るためです。命以上に大切なものはないはずです。

沖縄が課せられている対アメリカ施策(と思える)の負担の大きさは、きっと戦時、戦後から変わっていないし、何らかの「変えよう」という政治家もいないのが現実なんでしょう。
あっちを立てると、こっちが立たなくなる。全員が満足する結果なんてない・・・のかもしれません。しかし、可能性はゼロではないのではないかな?と瀬長さんのドキュメンタリーを鑑賞した後に思いました。

じゃぁどうするべきなのか?
僕は答えがありません。しかし、選挙のたびに、国政選挙のたびに瀬長さんや島田さんを思い出し、沖縄の課題をどうするのか?に注目をするようになると思います。

僕たちは先人の経験、歴史を知り、認識し、理解し、悲しいことは繰り返してはならないという責務があるんだと。

バリカタ