「即興劇でしか出せない青春」無限ファンデーション andhyphenさんの映画レビュー(感想・評価)
即興劇でしか出せない青春
全編即興劇。7日間で撮影されたそうだ。
元々は西山小雨(本作で初めて知りました...すみません)のMVを撮る予定が膨らみに膨らみ、脚本も膨らみ、結局即興劇に落ち着いたそうだ。凄いな。
少女の鬱屈とか、諦めとか、夢とか、目標とか、恐れとか。即興劇だからなのか、出てくる言葉に飾りというか、遊びがない。特に部活のシーンなどは。
南沙良が演じる未来は、大変な奥手というか、自己表現が下手で、補習中も絵ばかり描いているような、どこか夢想的な女の子だ。だからこそ彼女は「小雨」と出会うことになるのだ。
上昇志向とプライドの高さに無自覚なナノカ(彼女は役名そのまんまなのね)、それを身を持って体感して複雑な思いを抱くユリ。そして未来。ちょっとした女子三角関係。あるよね、ああいう微妙な関係性。女子は特に。
高校1年生ってまだあまりにも未来があるしなんでも選べるのに、ああいう風に惑うんだよなあという気持ちになった。そして逆に、ものすごく自分を信じていたりもする。まだ見ぬ挫折を恐れたり、挫折というものを知らなかったり。
そういう女の子を見守る大人たち。母、先生、そして小雨(大人、ではないけど大人)。さりげなく写真で出演する渋川清彦も。
これから先も色々あるんだろうなあ、という終わり方だし、ひとつの結末で終わりでない人生、青春の物語かな、と。だから主題歌が「未来へ」なのがしみる。
ところで、先生と小雨が突然インタビューっぽくなるシーンは、あれは「2/デュオ」のオマージュなのだろうか?
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